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QA,qa,Q&A

最近よく聞かれるご質問をおまとめしました

こんにちは、日本橋はやし矯正歯科スタッフです。

 

今回は、最近よく聞かれる質問をおまとめしました。

 

FAQにも記載しますがまずはこちらでご紹介しますのでぜひご覧ください!

 

 

Q:口ゴボなので口元は下げてEラインをきれいにしたいけど、口元が下がりすぎて老けた感じにならないか心配です。

 

A:一般的に第一小臼歯を抜歯して前歯を後退させた場合、歯自体は3.5mmほど下がります。
この場合、唇はおおよそ2mmほどさがります。

 

この程度ですと口元が下がりすぎた感じにはならないので老けた感じの印象にはならないと思われます。

 

口ゴボの症例については以下をご覧ください。

 

症例集(口ゴボの症例) | 日本橋はやし矯正歯科

 

 

Q:アンカースクリューを使って口ゴボの治療をした場合、口元が下がりすぎてほうれい線や人中が伸びた感じになってしまうことがありますか?

 

A:重度の口ゴボの場合は積極的に前歯を後退させる目的で、アンカースクリューを用いた治療が選択されることがあります。

 

ご本人が思った以上に下がりすぎる場合は、稀にですかおこることがあるので、しっかりと説明をさせていただき治療を行っています。

 

仮に歯が下がりすぎてしまいそうな場合は、治療途中でアンカースクリューの使用をやめたり、逆に奥歯が前に移動するように治療計画を変更することも可能ですので、安心して治療を継続していただけます。

 

 

Q:裏側矯正と表側矯正を比較した場合、表側矯正の方が治療期間も短くて結果も良いのですか?

 

A:最新の裏側矯正の治療法を用いることで、表側と比較して裏側矯正の方が治療期間がかかるとか結果が劣るということはありません。

 

当院で行っている3Dデジタル矯正による裏側矯正は、治療期間や治療の質等で表側矯正と同等以上の結果をご提供することができます。

 

裏側矯正のサイトでも説明をさせていただいておりますのでよろしければご覧ください。

 

 

 

Q:院長が最初から最後まで診てくれるのですか?

 

A:診断、治療計画の立案、毎回の処置時のチェックはすべて院長が担当します。

 

実際の処置や施術に関しては院長の指示の元、常勤・非常勤の歯科医師や歯科衛生士が担当しますが、ご不安なことがあれば院長が再チェック等を行う体制を整えております。

 

 

Q:治療中にアポイント以外で歯が痛いとか、装置が痛いとか、不具合があった場合はすぐに診ていただけるのですか?

 

A:はい、当院では毎日急患枠を設けており、当日の朝にお電話いただければ可能な限り当日中に急患対応をさせていただきます。また料金も発生しません。

 

しかしながら稀に急患枠が埋まってしまうことがあり、その場合は翌日以降の対応になることもございます。

 

 

Q:仮に矯正治療中に虫歯になってしまった場合、こちらで虫歯治療もしていただけるのですか?

 

A:簡単なカリエス処置であれば当院でも治療は可能ですが、すべて自費診療となります。

 

保険で治療を行う方が費用を抑えることができますので、その場合はご自宅近くの歯科院での治療をお勧めいたします。

 

虫歯治療の際に一部装置を外す必要がある場合は当院でしっかり対応いたします。

 

この場合も矯正に関する処置に関しては費用をいただかずに対応しています。

 

 

Q:精密検査後、最短でいつから治療が始まりますか?

 

A:精密検査の資料を基に診断・治療方針の説明を3週間後に行い、方針が決定します。

 

そこから矯正装置の準備が始まり、最短で診断後4週間で装置ができ上がります。

 

よって精密検査後、最短で7週間後に矯正治療が開始されます。

 

 

Q:仕事が忙しく土日しか来られないのですが、予約は取りづらいですか?

 

A:土曜日と日曜日の診療は混み合うことが多いですが、予約自体が1カ月先ですので毎月の予約は普通にお取りいただくことができます。

 

しかしながら、予約近くでのアポイント変更等がある場合は、次の予約が1-2週間ほど後ろにズレることもございます。

 

 

Q:いわゆる「アゴなし」なんですが、奥歯を圧下させてオートローテーションで下顎を自体を前に出すことはできますか?

 

A:外科的矯正治療を行わないで、可能な限りアゴなしを改善する方法として採用する場合もあります。

 

ですが顎顔面形態により治療効果にかなり差があるのと、後戻りの可能性が高いので、リスク等をしっかり説明し、ご納得いただいてから治療を行っています。

 

口元を下げることで、相対的にアゴなしの状態も改善されるので、先ずは一般的な矯正治療を行い、それでもアゴなしが気になる場合は美容外科手術の”オトガイ形成”をお勧めします。

 

 

顎なしの症例は以下をご覧ください。

 

症例集(顎なしの症例) | 日本橋はやし矯正歯科

 

Q:正面から見て顎が歪んでいるのですが(顔面非対称)、矯正治療だけで改善できますか?

 

A:上下顎をどちらも手術して初めて顔面を対象にすることができます。矯正治療のみですと顔面非対称自体は改善することができません。

 

一般的に顔面非対称の改善には外科的矯正治療が適用となります。

 

当院ではサージェリーファーストで顔面非対称の治療を積極的に行っております。サージェリーファーストについては以下のページをご覧ください。

サージェリーファースト (外科的矯正治療)

【論文概要】江戸時代と現代日本人女性の顔立ちの違い ― 歴史・研究・矯正歯科の視点から ―

(このコラムは林院長の論文をスタッフがまとめています)

 

日本橋はやし矯正歯科の院長 林一夫は、大学教授時代から矯正歯科分野において数多くの学術的業績を残してきました。

特に3次元画像解析や3Dデジタル矯正に関する研究では国内外で高い評価を受けており、これまでに100本を超える論文を発表しています。

 

臨床現場に直結する基礎研究から、最新のデジタル技術を応用した治療法の開発まで、多角的な視点から矯正治療の発展に貢献してまいりました。

現在も学術的知見を臨床に還元し、「患者さま一人ひとりに安心と納得を与える治療」を実践しています。

今回ご紹介する論文は江戸時代の女性と現代女性の頭蓋骨を比較し、時代背景と顔立ちの関係を明らかにしたユニークな研究であり、矯正歯科の視点からも非常に示唆に富む内容だと思います。

 

 

Morphological analysis of the skeletal remains of Japanese females from the Ikenohata-Shichikencho site. European Journal of Orthodontics. Hayashi K, Saitoh S, Mizoguchi I

 

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21745827/

 

https://academic.oup.com/ejo/article-abstract/34/5/575/549497?redirectedFrom=fulltext&login=false

 

 

古代人骨の発見と研究について

 

日本では近年、建設工事などをきっかけに多数の古代人骨が発見されています。

これらの遺跡の多くは、地方の大学や博物館に所属する研究者や公的機関の調査によって確認されています。

遺跡から人骨がそのままの状態で出土すると、重要な情報が得られます。しかし、多くの研究結果は調査委員会の報告書のみに掲載されることが多く、広く一般に共有されることは稀です。

 

 

江戸時代の遺跡から出土する古代人骨

 

江戸時代(1603年〜1867年)は、徳川幕府が日本を統治していた時代です。

将軍は世襲の最高司令官であり、天皇が形式上の国家元首であったものの、実質的な権力は将軍に集中していました。

したがって、1867年の封建制廃止まで、将軍が日本の実際の支配者とみなされていました。

江戸時代の社会は身分制度が厳格に分かれており、最上位は武士、その下に農民、職人、商人が続き、さらにその下には被差別民層(えた・非人)が存在しました。

当時の首都であった江戸(現在の東京)は、人口約100万人を抱える大都市でした。東京の都市部にある江戸時代の遺跡からは、数千体に及ぶ人骨が出土しています。

 

これまでの研究では、江戸時代の人骨を系統発生学的、病理学的、人口学的に分析してきました。

本研究のような形態学的分析は、当時の人々の体格や形態を明らかにするだけでなく、江戸時代の日本人の形態的な傾向や、現代日本人における形態的多様性の理解にもつながります。

 

※なお、江戸時代では上流階級と庶民では口元の骨格に違いがあることがわかっています。
これは、上流階級ではしっかり調理され柔らかくなった食べ物を食べていたのに対し、庶民はご飯にめざしやたくあんといった質素かつ硬いものを食べていたからだろうと言われています。

 

 

1.なぜ江戸時代と現代を比較するのか

 

私たちの「顔立ち」や「歯並び」は、生まれつきの遺伝だけでなく、食生活や社会環境といった時代背景 に大きな影響を受けています。

今回紹介する研究では、東京都台東区の池之端七軒町遺跡から発掘された江戸時代の女性頭蓋骨を用い、現代日本人女性の頭蓋と比較しました。

これにより「時代による顎顔面形態の違い」が科学的に明らかになったのです。

 

 

2.江戸時代女性の社会的背景

 

江戸時代の女性は現代に比べて非常に厳しい環境で生きていました。

  • 平均寿命は30歳前後。感染症や出産に伴うリスクで短命であった
  • 食生活は硬い食材中心。保存食や繊維質の多い食品を噛む機会が多く、顎への負担が大きかったと考えられる
  • 社会制度の制約。女性は家父長制の中で生き、自由な選択肢は限られていた
  • 女児の間引き。男子を優先する価値観から、出生直後の女児が育児放棄された例も多く、人口構成に影響していた

こうした背景を踏まえたうえで、江戸時代女性の「顔立ちの特徴」を見る必要があります。

 

図は江戸時代人の頭蓋骨のセファロ写真と今回の研究で評価した計測項目を示しています。

細かな内容は割愛しますが、一般的な項目で評価しています。

 

3. 研究方法

 

この研究では、江戸時代女性30体と現代女性40名を対象に比較が行われました。

  • 対象サンプル
    江戸時代:池之端七軒町遺跡から発掘された女性頭蓋骨(上下顎中切歯・第一大臼歯が残存)※国立科学博物館所蔵
    現代:北海道医療大学矯正科を受診した女性
  • 分析方法
    2次元形態計測(Geometric Morphometrics)を使用
    頭蓋の基準点を設定し、上下顎の位置・歯の傾斜・頭蓋形態を比較

 

 

4. 江戸時代女性の顔立ちの特徴(研究結果)

 

分析の結果、江戸時代女性には以下の特徴が確認されました。

  • 上下顎が前方に突出(いわゆる口ゴボ傾向だが現代の傾向とは異なる)
  • 咬合平面が平ら(噛み合わせの角度が少ない)
  • 頭蓋の長さが大きい(S-N距離が長い:現代人と比較して長頭)

つまり、横から見たときに「口元が全体的に出ている」顔立ちだったのです。

 

 

5. 現代女性の顔立ちの特徴

 

一方で、現代日本人女性では次のような特徴がみられました。

  • 鼻の付け根(前鼻棘)がやや突出
  • 歯列は江戸時代ほど前に出ていない
  • 食生活の変化による顎の発達の違い

柔らかい食事や栄養状態の改善により、顎の形態や顔立ちが変化してきたことがうかがえます。

 

 

6. 考察 ― なぜ違いが生まれたのか

 

これらの差異は単なる偶然ではなく、食生活・栄養状態・社会的環境・遺伝 が複雑に関与していると考えられます。

  • 食生活の違い
    硬い食事が顎の成長を促し、江戸時代の女性は上下顎骨が前に出やすかった?
  • 寿命の短さ
    若くして亡くなることが多く、年齢的な成長差が残りやすい。
  • 社会的制約
    女性の生活習慣は現代よりもはるかに過酷で、成長や健康に影響を及ぼした。
  • サンプルの偏り
    現代群は矯正治療を希望した女性が対象であるため、平均的な日本人女性とは少し異なる可能性がある。

 

 

7. 矯正歯科にどうつながるのか

 

この研究は「顔立ちは時代によって変化する」という事実を科学的に示しました。

矯正歯科では、患者さま一人ひとりの「今の骨格」「将来の横顔」を精密に分析することが重要です。

当院では、

  • CBCTによる3D画像
  • セファロ分析による骨格評価
  • 横顔シミュレーション

を組み合わせ、矯正治療の効果を「未来の横顔」として可視化します。

歴史研究で得られた知見を、現代の臨床にも応用しているのです。

 

 

まとめ

 

江戸時代と現代日本人女性の顔立ちは大きく異なり、食生活や社会環境がその差を生み出しました。

  • 江戸女性:口元が前に出ている、寿命が短く過酷な環境
  • 現代女性:食生活の変化で顎形態が変わり、横顔の印象も異なる(短頭傾向)

 

矯正歯科は「時代背景に左右される顔立ち」を科学的に分析し、理想の横顔を実現するための学問です。

ご自身の横顔に関心がある方は、ぜひカウンセリングで未来のシミュレーションをご体験ください。

 

 

参考文献(サイト)

 

池之端七間町遺跡について
https://www.city.taito.lg.jp/gakushu/shogaigakushu/shakaikyoiku/bunkazai/taitoukuiseki/taitoukunoiseki/ikenohata7kentyou.html

国立科学博物館(標本コレクション)
https://www.kahaku.go.jp/research/db/anthropology/osteology/edo/k28/

休診日更新のお知らせです。

2025年10月、11月の休診日のお知らせ

 

こんにちは、日本橋はやし矯正歯科です。

すっかり秋めいてきた…と思ったんですが今日はかなり蒸すので半袖大活躍です。

いつになったら衣替えできるんでしょうか!?

 

10月と11月の休診日をお知らせいたします。

 

 

2025年10月の休診日

 

  • 通常休診日:5日(第一日曜日)、10日(第三日曜日)
  • 臨時休診日:1日(水)、13日(月・祝)

※10月12日(日)、26日(日)は診療いたします。

 

2025年11月の休診日

 

  • 通常休診日:11月2日(第一日曜日)、16日(第三日曜日)
  • 臨時休診日:3日(月祝)、30日(日)

※11月9日(日)、23日(日祝)、24日(月祝)は診療いたします。
※11月8日(土)は17:30まで診療いたします。

みなさまどうぞよろしくお願いいたします。

 


カウンセリングはこちらをご覧ください!
初回カウンセリング | 日本橋はやし矯正歯科

比較的重度の歯の凸凹、八重歯、正中線のズレの治療例

みなさんこんにちは、日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。

今回は表側矯正で治療を行った症例をご紹介いたします。

 

歯の凸凹と八重歯がお悩みでした

 

22歳男性、歯の凸凹(乱杭歯、叢生、ガチャ歯などとも呼ばれます)と八重歯の治療をご希望され来院されました。

 

まずは口腔内の写真を見ていただきます。

上顎の左右の犬歯が八重歯の状態です。八重歯は専門的には「犬歯の低位唇側転位」といいます。

下顎の犬歯も同様に低位唇側転位の状態を示しています。

 

歯肉退縮と歯根露出もあります

 

また、すべての犬歯において歯肉退縮が認められ、歯根がわずかではありますが露出していました。

歯肉退縮は矯正後に改善することがない場合が多い(悪化してしまうこともあります)ので、しっかりと状況の説明を行い治療を開始する必要があります。

 

左右側および上下顎の口腔内写真です。お分かりいただけるように凸凹の程度はかなり重度です。

 

正中線もズレていました

 

スマイル写真では、正中線のズレもはっきりわかります。

顔面正中に対して上顎正中は右側にずれています。反対に、下顎正中は左側にズレています。

 

以下の青い線がおよその顔面正中です。ズレていることがわかります。

 

ご本人的には正中線もしっかり合わせてほしいとご要望をいただきました。

 

異常な生え方をしていた親知らず

 

初診時のパノラマレントゲン写真です。上下顎左右側に智歯(親知らず)が認められます。

 

 

患者さまへのご説明と診断、治療プラン

 

こちらは診断と治療プランです。

治療プランは患者さまのお悩みとご希望をお聞きし、こちらからは歯並びに加えて歯肉退縮や歯根露出、親知らずについてなどもご説明させていただき、最終的に合意に至っています。

  • 診断:上下顎前歯の唇側傾斜、上下顎両側犬歯の低位唇側転位、上下顎に重度の叢生を伴う骨格性Ⅰ級症例
  • 治療方針:上顎両側第一小臼歯、下顎右側第一小臼歯の抜歯をして表側矯正装置で治療
    ※左右のかみ合わせに差があり、また正中も合わせる治療方針であるため、あえて下顎は右側のみの抜歯となっています

 

今回患者さまが表側矯正装置を選択したのは、やはり他の矯正方法と比較して費用が安いことが挙げられます。

また最近は矯正装置が見えても気にされない方が徐々に増えているように感じます。

それだけ、歯列矯正というものが普及してきていることが嬉しく思います。

 

 

治療終了、歯列が整いました

 

治療終了時の口腔内写真を見ていただきます。

まず正面です。

八重歯も適切に改善され、また重度の叢生もきれいに整っていることがお分かりいただけると思います。

 

犬歯の歯肉退縮は初診時と大きく変化はありませんが、悪化は避けることができました。

また歯列が整ったことであまり目立たなくなっています。

 

 

左右側および上下顎の口腔内写真をご覧いただきます。

歯列弓も左右対称に修正され、理想的な歯並びとかみ合わせを獲得することが出来ました。

 

治療後のスマイル写真です。

顔面正中に対して上下顎の歯の正中もぴったりと合わせることが出来、より良いスマイルを提供することが出きました。

 

治療終了時のパノラマレントゲン写真を示します。大臼歯のかみ合わせの調整や術後の後戻りの予防を考慮して治療途中で“親知らず”はすべて抜歯しました。

上に挙げた治療前の写真と比較してみました。

 

治療前
治療後

 

 

今回の治療例まとめ

 

今回の治療例の概要を以下におまとめしました。

同様の症状であっても患者さまにより治療方針は異なりますが、ぜひ参考にしてください。

 

  • 診断:上下顎前歯の唇側傾斜、上下顎両側犬歯の低位唇側転位、上下顎に重度の叢生を伴う骨格性Ⅰ級症例
  • 治療法:上顎両側第一小臼歯、下顎右側第一小臼歯の抜歯抜歯、上下顎表側矯正による治療
  • 治療期間:2年6か月
  • リスク:歯肉退縮の悪化、上下顎前歯部のブラックトライアングルおよび歯根吸収
  • 治療費:110万円(税込み、精密検査料含む/2022年当時の費用)

久しぶりの表側矯正の症例紹介でしたが、表側矯正をご希望になる方は決して少ないわけではなくもちろんたくさんいらっしゃいます。

 

そしてコラムの中でも書きましたが、最近は矯正装置をあまり気にしない方が増えているので、ひとつの装置にこだわることなくさまざまな可能性やメリットなどを検討されることをお勧めします。

 

カウンセリングの際にご質問いただければそういったこともしっかり説明させていただきます。

 

カウンセリングは初回のみ有料(3,000円)となりますが、精密検査をお申込みいただいた方にはキャッシュバックいたしますので実質無料となります。

 

ぜひご予約ください。お待ちしています。

 

【論文概要】デジタル矯正の信頼性を高める研究 ― バーチャル3Dモデル分析の再現性について

研究の概要

 

(このコラムは林院長の論文をスタッフがまとめています)

 

日本橋はやし矯正歯科 院長の林一夫は、これまで100本以上の学術論文を発表し、デジタル矯正の研究に長年取り組んできました。

この研究は国際的に権威のある学術誌 American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics に掲載されました。

 

本研究の背景

 

矯正歯科では、長らく石膏模型を使った診断と治療計画が行われてきました。

しかし、石膏模型は保管や取り扱いに手間がかかり、また計測時の誤差も避けられません。

 

そこで近年、石膏模型をスキャンしてデジタルデータ化し、バーチャル3次元(3D)モデルとして解析する方法が普及してきました。

さらに、直接口腔内をスキャンする手法が急速に普及しつつあります。

 

 

デジタル矯正が広がるなかで重要になるのが「再現性(reproducibility)」です。

異なるソフトウェアや手技で分析しても、同じ結果が得られることが治療計画の信頼性に直結します。

今回紹介する論文は、この再現性に焦点を当て、特に「標準化」がどのような影響を及ぼすかを明らかにした研究です。

 

研究の目的

 

本研究(林ら, AJODO, 2015年)の目的は、バーチャル3Dモデルを用いた歯列模型分析において、測定点を統一(標準化)することが再現性に与える影響を明らかにすることです。

加えて、物理的な石膏模型をデジタルノギスで測定したデータとも比較することで、従来法との違いも検討しました。

 

方法

 

  • 石膏模型5セットを対象にスキャンを実施
  • 使用機器:R700(3Shape社)、REXCAN DS2 3D(Solutionix社)
  • 使用ソフト:SureSmile、Rapidform、I-DEAS
  • 比較対象:物理的な石膏模型をデジタルノギスで計測

標準化を行わず自由に測定した場合と、標準化ルールを設けて測定した場合とで再現性を比較しました。

 

結果

 

  • 標準化なし:ソフト間で最大0.39mmの誤差が生じた
  • 標準化あり:誤差は最大0.099mmに縮小し、有意に再現性が改善した(p < 0.05)
  • 全てのソフト・計測法で、標準化を行った場合の方が誤差が小さいことが確認された
  • デジタルノギスを用いた石膏模型測定では、依然として誤差が生じやすいことも示された

 

臨床的意義

 

この研究が示す最大のポイントは「標準化によってデジタル模型分析の信頼性が大幅に高まる」という点です。

 

矯正治療では、治療開始前に行う診断・シミュレーションの正確さが、治療結果や患者満足度に直結します。

もし計測方法が術者やソフトによってばらついてしまえば、治療計画そのものに不確実性が生じてしまいます。

 

しかし標準化を徹底すれば、誰がどのソフトで測定しても安定した結果が得られるため、患者にとっても安心感が増します。

また、物理的な石膏模型での計測が難しい点も改めて明らかになり、デジタル化の意義が裏付けられたといえます。

 

将来展望

 

この研究の知見は、今後の3Dデジタル矯正において大きな意味を持ちます。

  • AIを活用した自動トレース・診断支援
  • 患者ごとの治療計画をクラウド上で共有するチーム医療
  • 治療シミュレーションのさらなる精度向上

いずれも、基盤となるのは「信頼性の高い3Dモデル分析」です。今回の研究は、その基盤を支える重要な一歩といえます。

 

まとめ

 

日本橋はやし矯正歯科院長である林一夫らによる本研究は、矯正歯科におけるバーチャル3Dモデル分析の再現性を検証し、測定点の標準化が精度を大きく高めることを示しました。

 

当院では、 国際的な学術研究の成果を参考にしながら  、患者さまに安心して治療を受けていただける診療体制づくりを進めています。

 

参考資料

 

Influence of standardization on the precision (reproducibility) of dental cast analysis with virtual 3-dimensional models.
American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics
Hayashi K, Chung O, Park S, Lee SP, Sachdeva RC, Mizoguchi I.

URL:https://www.ajodo.org/article/S0889-5406(14)01007-5/abstract