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【マウスピース矯正】重度の出っ歯、口ゴボ、軽度の顎なしの治療例

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。

今回は、マウスピース矯正で治療を行い、良好な治療結果が得られた患者さまの治療例をご紹介させていただきます。

 

日本橋はやし矯正歯科では複数のマウスピース矯正治療システムを導入し、最新のデジタル技術を組み合わせ、患者さまごとに最適な治療法をご提案させていていただいております。

 

また「マウスピース矯正は軽症例のみ」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、今回のように比較的重症例でも可能な治療はございます。

「重症だから」と諦める前に、ぜひ一度カウンセリングでお話ください。

 

 

重度な出っ歯と口ゴボ、軽度の「顎なし」の症状

 

重度な出っ歯の症状

 

初診時の口腔内写真です。

上顎前歯が突出し、重度の出っ歯です。

奥歯の咬み合わせも上顎部分がほとんど歯1本分ズレており、出っ歯の程度は比較的重度です。

 

軽度の「顎なし」、口ゴボの症状

 

横顔です。

上下の口唇も突出しており、いわゆる“口ゴボ”に近い状態です。

また下顎の前後的位置も後方に位置し、軽度の“アゴ無し”と言われる症状も呈しています。

口ゴボと顎なしの両方があることで、よりそれぞれが強調されてしまっています。

 

患者さまのご希望でマウスピース矯正を選択

 

こちらの患者さまは目立たない治療がご希望で、できるだけ今の生活を維持しながら矯正治療を行いたいとのことで、お食事などで取り外すことができるマウスピースでの矯正を選択されました。

 

3Dデジタル矯正の3Dモデル

 

日本橋はやし矯正歯科では、マウスピース矯正はもちろん、すべての矯正治療において3Dデジタル矯正で行います。

これは歯、歯根、歯茎、骨すべてを3Dモデル化し、治療前から治療後までのシミュレーションを行い、歯や歯根の位置などを確認し、調整していけるものです。

このモデルを元に治療計画を立案するのが当院のマウスピース矯正の強みです。

これにより安全で効率的な治療計画を立てて治療を行うことができています。

 

初診時の3Dモデルです。

 

 上顎部の奥歯の位置が前にずれているのがよくわかります。出っ歯の状態も重症です。

 

術後予測の3Dモデルです。前歯がきれいに揃っています。

このモデルをもとに、上顎両側の第一小臼歯を抜歯し治療を行う計画を立てました。

 

歯の根っこや骨の状態も入念に確認します

 

当院では「suresmileアライナー」というマウスピースを使用しています。

これは3Dデジタル矯正に対応したマウスピース矯正のシステムで、例えば歯の位置を「歯の根っこの位置が骨から飛び出さないようにする」等のレベルでコントロールできます。

これは従来の矯正治療ではできなかったことで、歯列を整えるだけでなく、それに伴う口腔内のトラブルを未然に防ぐことができます。

これが「suresmileアライナー」の非常に優秀なところです。

 

この画像は、実際のマウスピースのデザインを示しています。

詳細は割愛しますが、上顎の犬歯付近の切込みと下顎の第一大臼歯部のボタンの所に顎間ゴムを用いる設計になっています。

このようにマウスピース矯正の場合でも顎間ゴムを適切に使用してもらうことで、治療の成績を向上させることができるようになってきました。

 

出っ歯が治り、歯列がきれいに整いました

 

治療後の口腔内写真です。

上顎前歯の位置が改善され、出っ歯がきれいに治っています。

 

治療終了時の横顔の写真です。

治療前と比較して、口元の突出感が効果的に改善されていることがお分かりいただけると思います。

 

治療前 治療後

 

前歯が後ろに下がったことで、唇が閉じやすくなり、その結果としてオトガイ部の緊張もなくなり、いわゆる「梅干状の隆起」もほぼ発現しなくなりました。

 

治療期間は1年2ヶ月でした

以下に治療をまとめます。

  • 診断(学術的):上下顎前歯の唇側傾斜、大きなover jet、skeletal Class IIの上顎前突症例
  • 治療法:上顎両側第一小臼歯の便宜抜歯、マウスピース矯正(suresmileアライナー)
  • 治療期間:1年2カ月
  • 治療費:115万円(通院回数12回)すべて税込み
  • リスク:IPRによる知覚過敏、前歯部のブラックトライアングル、歯根吸収
  • 副作用:治療中の発音への影響、治療後の凸凹の後戻り
  • 料金:110万円(税込)

※2022年1月の症例です

 

 

マウスピースの追加作製もありませんでした

 

マウスピースの追加作製も行うことなく治療を終了することができました。

 

あまり知られていないことですが、マウスピースが既定の数で治療が終わることはほとんどなく、かなりの確率で追加作製をしています。

最低でも120時間以上の使用時間を続けないかぎりマウスピース矯正は成功しません。

使用時間が短くなると極端に治療成績が悪くなるのがこの治療法の特徴であり、難しいところでもあります。

 

今回の治療で追加作製がなかったのは、患者さまが122時間以上しっかりマウスピース装置を装着していただけたからというのがとても大きいです。

また顎間ゴムも適切に使用していただけたので、このように非常に良い治療結果が得られました。


最新のマウスピース矯正では治療成績が非常に向上してきており、今回のような重症例でも治療が成功するようになっています。

 

しかしながら、矯正専門以外での治療では失敗例も数多く報告されており、クリニック選びはとても重要です。

日本橋はやし矯正歯科では、専門知識を有した歯科医師陣が安全で効果的なマウスピース矯正を提供しています。

 

詳しくはこちらもご覧ください。

マウスピース型歯科矯正装置による治療

ほほを押さえる女性

裏側矯正は口内炎ができやすい?予防方法とできたときの対処法を解説

「歯並びにコンプレックスがある」「歯並びが悪くて虫歯や歯周病が心配」などと悩んでいる人にとって、歯列矯正は悩みの解消に有効な治療方法です。

矯正には、一見すると器具を装着していることが分かりにくい裏側矯正という方法もあり、周囲に気付かれることなく歯並びを改善することもできます。

 

しかし、裏側矯正は歯の表側に矯正器具を装着すると表側矯正と比べて口内炎ができやすいのではないかと考えて、治療を受けるのに不安に感じる人もいるでしょう。

 

本記事では、裏側矯正における口内炎の予防方法やできたときの対処法を解説します。

 

 

裏側矯正中に口内炎ができる理由

裏側矯正では歯の裏側(舌がある側)にブラケットという器具やワイヤーを装着するため、舌や舌の付け根あたりに口内炎ができることがあります。

舌を動かしたときに舌が矯正器具に当たってしまったり、普段はない矯正器具が気になって舌で触ってしまったりして舌に傷ができ、炎症を起こすことがあるからです。

 

ただし、一般的には日が経つにつれ口内炎はできにくくなります。

矯正器具が装着されている状況に慣れて気にならなくなり、傷が付かないように舌を動かせるようになるためです。

 

裏側矯正中に口内炎を予防するには?

 

歯ブラシとコップを持っている人

 

口内炎ができると、話や食事をしているだけでも痛みを感じることもあり、不快感を覚えたりつらさを感じたりしてしまいます。

そこで、口内炎を予防する方法を3つご紹介します。

 

矯正用ワックスを使用する

 

裏側矯正による口内炎は、矯正器具が当たって付いた傷に炎症が起きてできます。

そのため、口内炎を防ぐためには矯正器具で口の中を傷付けないようにすることが大切です。

 

傷を予防する手段の一つとして、矯正器具から口腔内を守る矯正用ワックスが有効です。

矯正用ワックスはシリコンでできているものとペースト状のものがあり、シリコンでできているタイプはペーストタイプと比べて短時間で固まるのが特徴です。

矯正器具全体を覆うように矯正用ワックスを塗ると、矯正器具の鋭い部分がカバーされ、矯正器具が当たっても口腔内に傷が付きにくくなります。

 

口腔内を清潔にする

 

口内炎は、カンジダ菌というカビが口腔内に増えることによって発症する場合もあります。

カンジダ菌は健康な人の口の中にも常にある常在菌ですが、過剰に増えると口内炎の原因となる場合もあるため、気を付けなければなりません。

 

常在菌の増殖による口内炎を防ぐには、普段から口の中を清潔に保つことが必要です。

矯正器具を付けていると一般的な歯ブラシだけでは汚れを落としにくくなるため、歯間ブラシや毛束の先端が一つにまとまったタフトブラシなども使って歯磨きをするとよいでしょう。

また、口の中は乾燥すると雑菌が増えやすくなるため、口呼吸をしている人は意識的に鼻呼吸にすることも効果的な予防策です。

 

栄養バランスの良い食事を取る

 

口内炎を発症させないためには、さまざまな栄養素をバランスよく摂ることが大切です。

特に皮膚や粘膜を正常な状態に保つのに必要な栄養素は、意識的にしっかり摂取するようにしましょう。

 

例えば、レバーやうなぎ、牛乳などに多く含まれているビタミンB2には、皮膚や粘膜を保護し細胞の再生を助ける働きがあります。

また、ビタミンB6は皮膚や細胞の元となるたんぱく質のアミノ酸への分解や、たんぱく質への再合成に必要となる栄養素です。

まぐろやかつお、牛レバーや鶏肉、バナナなどで摂取できます。

 

加えてビタミンCはたんぱく質の一種であるコラーゲンの合成に欠かせない栄養素で、キウイフルーツなどの果物、パプリカやブロッコリーなどの野菜に多く含まれています。

 

規則正しい生活を送る

 

免疫力が下がると、雑菌が増え口内炎ができやすくなります。

免疫力は睡眠不足や慢性的な疲労、ストレスなどがあると低下しやすくなるため注意が必要です。

普段から生活リズムを整え、適度な運動を行い、バランスの取れた食事や質の良い睡眠をしっかりとるように心掛けましょう。

またストレスをためないように気分転換を行うことも大切です。

 

規則正しい生活を送ることは口内炎の予防だけではなく、全身の健康を保つのにも役立ちます。

 

 

裏側矯正中に口内炎ができてしまったときの対策

 

鏡の前で痛そうにほほを押さえる女性

 

裏側矯正中に口内炎ができてしまった場合にはどのような対策が取れるのでしょうか。

ここでは裏側矯正中に取れる口内炎対策を4つ紹介します。

 

矯正用ワックスを使用する

 

矯正用ワックスは口内炎ができるのを予防したいときだけではなく、できてしまった口内炎へのさらなる刺激や痛みを軽減させたいときにも使えます。

口内炎ができているところに矯正器具が当たってもワックスが緩衝材となり、刺激が緩和され痛みを感じにくくなります。

 

矯正器具を調整してもらう

 

口内炎は、矯正器具の位置や不具合などが原因でできる場合もあります。

矯正器具が正しく歯に装着されていない状態のままでいると、口内炎が悪化するおそれがあります。

 

口内炎ができるところがいつも同じ場所だったり痛みが強かったりしたときは、早めに歯科医師に相談しましょう。

 

薬で治す

 

口内炎の痛みがつらいときは、薬で対処するのも対策の一つです。

口内炎の薬には飲むタイプの他、患部にパッチを貼るタイプや軟膏を塗るタイプ、スプレーをかけるタイプなどさまざまな種類があります。

口内炎の薬は歯科医院で処方してもらう以外にドラッグストアなどで買うこともできるため、症状に応じて自分が使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

 

刺激物を避ける

 

口内炎ができてしまったときには、食事の内容を見直すことも大切です。

カレーやキムチなどの辛いもの、レモンや酢などの酸味が強いもの、味が濃いものや熱いものなどは、刺激が強く口内炎を悪化させるおそれがあります。

また、アルコール類や甘いものも体内のビタミンを大量に消費するため、避けた方がよいでしょう。

レーザー治療器で処置する

日本橋はやし矯正歯科では積極的にレーザー治療器をもちいた口内炎の処置を行っています。

口内炎の表面を歯科用レーザー治療器の熱で処置することで短期間で痛みや不快感が消失し、普段の生活にすみやかに戻ることができます。

当院では半導体レーザー治療器を導入し、運用を行っていますので、スタッフまでお問い合わせください。

 

 

まとめ

 

歯の裏側に矯正器具を装着する裏側矯正は、人目を気にせず歯並びを治したい人にとって魅力的な治療方法です。

矯正装置が装着されると口内炎を発症しやすくなりますが、専用のワックスや薬の使用、矯正機器の調整、レーザーによる処置などの予防策や改善策もあります。

 

また、裏側矯正は治療に時間がかかることが一般的ですが、日本橋はやし矯正歯科なら3Dデジタル技術により、通常より短い期間で治療を行うことも可能です。

口内炎などの痛みに長く耐える必要もなくなるので、効率的に裏側矯正の治療を受けたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

【 症例あり 】 裏側矯正(リンガル矯正)

 

矯正用インプラント(アンカースクリュー ・ミニスクリュー)の種類について

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。

今回は、アンカースクリュー(矯正用インプラント)のお話をします。

 

矯正用インプラント、アンカースクリュー、ミニスクリュー、TADsいろいろな呼び方がありますが、矯正治療を検討されたことがある方は聞いたことがあると思います。

 

「どうして使うのか」「どんなものがあるか」「どんな症例にどのように使うか」などの情報があまりありませんので、この記事をぜひ参考にしてください。

 

 

アンカースクリューを使うとどう違うの?

 

矯正用インプラントを用いての治療は、アンカースクリューを顎の骨に埋め込んで、それを起点に歯を引っ張ります。

より正確に目標とする位置に歯を動かすことを目的に用います。

 

例えば重度の出っ歯の場合に、抜歯して前歯を積極的に後退させるときなどは大変有効です。

 

 

骨に埋め込むってなんとなく怖い…痛みはある?

 

アンカースクリューをご提案した時にしばしば「怖い」とおっしゃられる方がいらっしゃいます。

骨にスクリューを埋め込むのでどうしてもそういうイメージがあるのかもしれませんが、実際の埋め込む際の施術は麻酔をかけてから経過観察まで30分程度です。

 

また、麻酔が切れた時に多少の痛みはあることは多いですが、その後の鎮痛剤の服用で痛みは完全にコントロールできます。

 

 

アンカースクリューを外すタイミングは?痛みはある?

 

矯正治療がすべて終わったタイミングで、アンカースクリューを除去します。

これも「痛いかな?」というイメージがあるかと思いますが、実際は痛みはほとんどなく、麻酔をかけることもありません。

ですので「なんとなく怖い、敷居が高そう」というイメージはもたれる必要はなく、むしろ「使うと矯正治療が早く終わる」というメリットなどでご検討いただけると良いかと思います。

 

 

アンカースクリューの用途と使い方

 

日本橋はやし矯正歯科では、アンカースクリューは様々な症状の改善にとても効果的に使用しています。

用いる部位や目的によっていくつか種類がありますが、今回は当院で用いているアンカースクリューについて解説します。

 

1) 上顎前歯の後方移動に用いる場合

 

いわゆる「出っ歯」の改善です。

この治療を行う場合、当クリニックではまずは一番シンプルな方法でアンカースクリューを用いることが多いです。

上顎の第一小臼歯を抜歯した患者さまの写真ですが、第2小臼歯と第一大臼歯の間にアンカースクリューを埋入して前歯部の後方移動を行っています。

 

 

2) 上顎前歯の後方移動に用いる場合(その2)

 

この例も上顎を後方移動させたい場合の使用例です。

このアンカースクリュー「はPLAS(パラタル・レバーアーム・システム)」と言われるものです。

1)と比較してアンカー自体の脱離が少ない、大臼歯の後方移動も可能などの利点も多いのですが、違和感は大きいので患者さまが慣れるまで少し時間がかかります。

 

 

3) 上顎前歯を圧下させる場合(ガミースマイルの改善)

 

ガミースマイルとは「スマイル時に前歯の歯茎が露出する状態」です。

この例は上顎の中切歯間にアンカースクリューを1本埋入し、上顎前歯を圧下させガミースマイルの改善を行っているところです。

 

重度の場合は中切歯と側切歯間に左右で2本埋入して治療を行う場合もあります。

 

 

4) 上下顎大臼歯を圧下させる場合

 

この例は重度の前歯部開咬の改善を行う場合に用います。

開咬とは、口を閉じた際に上の歯と下の歯が咬み合わない状態をいいます。

 

以下は開咬を改善した3Dシミュレーションの記事となりますので、ぜひ参考にご覧ください。

(アンカースクリューを使用しない症例となります)

アゴの運動機能を再現した3Dシミュレーション1【開咬症例の治療】

 

本来は外科手術を行うことが最も良い治療の患者さまで、手術を行いたくないとご希望される場合、アンカースクリューを使用しての治療を行うことが多いです。

 

 

5) 下顎の大臼歯を近心移動させる場合

 

下顎の大臼歯は前方に移動させることが比較的難しい場合※、必要に応じで以下の写真のようなアンカースクリューで大臼歯を前方に移動させます。

※特に裏側矯正治療の場合はその傾向が強くなります。


通常の矯正法と違い、アンカースクリューは少し説明が難しいのですが、埋め込むのも除去するのもそれほど怖いものではなく、痛みもそれほど大きくはありません。

そして歯の移動にとても効果的であることがご理解いただけたと思います。

 

アンカースクリューについてお聞きになりたいことがありましたら、ぜひカウンセリングの際にご質問ください。

カウンセリングは何度でも無料ですのでお気軽にご連絡ください。

重度の口ゴボ、口唇閉鎖不全の治療例

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。
今回は、重度の口ゴボと口唇閉鎖不全を持つ患者様の治療例をご紹介したいと思います。
口ゴボの症例は今までもご紹介してきましたが、今回の症例は重症度が高い症例です。

 

口ゴボの治療例をご紹介します

 

口ゴボの説明と治療法などについてはこちらで解説しています。

口ゴボとはどのような状態?原因や改善すべき悪習慣・治療法を解説

口ゴボと出っ歯をサージェリーファーストで改善した治療例です。

サージェリーファースト:口ゴボ、出っ歯、ガミースマイルの治療例

口ゴボをマウスピース矯正(アライナー矯正)で改善した治療例を紹介しています。

アライナー矯正(マウスピース矯正)とワイヤー矯正の違い-6選

口ゴボを改善したスタッフの矯正体験レポート。ここでは矯正用インプラント(アンカースクリュー)などについても詳しく説明しています。

矯正体験レポート【スタッフB】(1)出っ歯、口ゴボ、ガタガタ歯が悩み!

 

今回の患者さまの症状の概要

 

まず患者さまの主な症状をまとめました。

 

  • 口ゴボ
  • 出っ歯
  • 口唇閉鎖不全(ポカン口と呼ばれる状態です)
  • 下顎後退(顎なしと呼ばれる状態です)
  • 正中線のズレ
  • 下顎のオトガイ部分に梅干し状の隆起

様々な症状が現れています。

次に各症状について、写真をもとに詳しく説明して参ります。

 

初診時の患者さまの状態

 

こちらは正面のお写真です。

下顎のオトガイと言われる部分に「梅干し状のしわ」(梅干し状の隆起ともいいます)があります

口唇閉鎖不全の場合に典型的に認められる症状で、重症度が高い場合はこのしわが強く出現します。

 

次に、側面のお写真です。

著しい口ゴボの状態で、医学的には“歯槽性の上下顎前突”と表現されます。

またこの患者さまの場合は下顎の後退感が強い、いわゆる「アゴ無し」の状態も強く認められます。

 

下あごが後方に位置することで、より口ゴボの状態が強調され、矯正治療のみでは根本的な解決にはならない場合もあり、治療が難しい症例と言えます。

 

 

正面からの口腔内写真をみてみましょう。

歯列正中線が多少ズレており、前歯部も凸凹しています。

 

側面からの口腔内写真がこちらです。

上下顎前歯は前方に傾斜(唇側傾斜と言います)していることが分かります。

 

アンカースクリューを用いてのハーフリンガル矯正を選択

 

重度の歯槽性の上下顎前突症例と診断し、上下顎両側第一小臼歯を抜歯して治療を行うこととしました。

可能な限り前歯を後退させて口ゴボを改善する必要があるので、アンカースクリューを用いる計画となりました。

今回用いたアンカースクリューはパラタル・レバー・アーム・システムと呼ばれるもので写真の様な構造をしています。

 

口ゴボが改善、Eラインを獲得!

 

正面からの治療後のお写真です。

正面:正面から見ても口元の突出感が劇的に改善されたことがお分かりいただけると思います。

梅干し状の隆起も消失し、すっきりした口元になりました。

 

治療後の側面のお写真はこちらです。

側貌:口ゴボが非常に効果的に改善され、ほぼ理想的なE-lineを獲得することが出来ました。

重症な症例でここまで綺麗なEラインになったのはこちらも本当に嬉しいです。

 

正面からの治療後の口腔内写真です。

上下の歯の正中もあっています。凸凹も改善されより良い歯並びとかみ合わせを得ることが出来ました。

 

側面の治療後の口腔内写真です。

上下顎前歯の唇側傾斜が改善され、理想的な前歯の傾きと、奥歯の咬み合わせを得ることが出来ました。

歯の移動量が大きかったので歯根吸収のリスクが高い治療でした。治療前後のレントゲンで確認したところ、歯根吸収は認められず、歯周組織の状態も良好でした。

 

治療期間は1年10カ月でした

 

以下に今回の治療例をおまとめします。

  • 診断(学術的):上下顎前歯の唇側傾斜(歯槽性の上下顎前突)を伴う骨格性Ⅱ級症例
  • 治療法:上下左右第一小臼歯(4番)の便宜抜歯、上顎裏側・下顎表側矯正
  • 治療期間:1年10カ月
  • 治療費:130万円(通院回数25回)すべて税込み
  • リスク:上下顎前歯の重度の歯根吸収
  • 副作用:治療中の発音への影響、治療後の凸凹の後戻り、抜歯部位の空隙の後戻り

重症な症例だったので治療には患者さまの日々の生活でのご協力は欠かせませんが、患者さまご自身もとても努力してくださり、この治療結果を得られることができました。

治療結果に患者さまにとても喜んでいただき、私たちもとても嬉しく思っております。

今後も症例を積極的にご紹介してまいります。

正中のズレ、歯の凸凹、出っ歯、過蓋咬合の治療例

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。
今回はハーフリンガル矯正で治療を行った症例についてご報告させていただきます。

 

 

歯の凸凹、正中のズレ、出っ歯、咬み合わせの深さを改善したい

 

35歳の男性です。

歯並びの凸凹(叢生)、正中線のズレ、出っ歯、咬み合わせが深い(過蓋咬合/ディープバイト)ことを主訴に来院されました。

 

 

治療前の口腔内写真

 

治療前の正面の写真

 

正中線が不一致で咬み合わせが深いこと(過蓋咬合と言います)がお分かりになると思います。

 

治療前の左右の写真

 

よく見ると左右で奥歯の咬み合わせに差がありますね。

この差が正面から見たときの正中線のズレ(正中線の不一致)につながっています。

 

治療前の上下顎の写真

 

物を咬み合う方向からの写真であり“咬合面観”と言います。

上下顎の前歯部に比較的大きめの凸凹(叢生)が認められました。

 

 

患者様へのご説明と治療プランの決定

 

シミュレーションを元に、患者様とお話をしご納得頂いたのは、以下の治療プランとなりました。
リスクや副作用もしっかりお話しています。

  • 診断:上下顎前歯部叢生、大臼歯関係の左右差をもつ骨格性II級、過蓋咬合症例
  • 治療計画:非抜歯、マルチブラケット装置(上顎は裏側、下顎は表側:いわゆるハーフリンガル)により治療を行うこととした。
    左側Ⅱ級ゴム(顎間ゴムの一種)とIPR (Interproximal reduction)を積極的に行い、叢生の改善、臼歯関係の左右差の修正および前歯部の被蓋改善を行うこととした。

この患者さまの場合は、比較的凸凹が大きかったのですが、初診時のイーライン(E-line、Eライン)が問題なかったことやご本人の希望も含めて検討し、非抜歯で治療が可能と判断しました。

 

 

治療後の口腔内写真

治療後の正面の写真

 

上下顎の正中線が一致し、過蓋咬合も適切に改善されていることがお分かりいただけると思います。

 

下に治療前のお写真と並べてみました。正中線の改善がはっきりわかります。

 

治療後の左右の写真

 

顎間ゴムをしっかり使用していただけたので、臼歯関係の左右差も改善され、良好なかみ合わせに改善されています。

矯正治療は患者さまのご協力がとても大切で、特に顎間ゴムの使用はモチベーションをもって続けていただく必要があります。

 

治療後の上下顎の写真

 

前歯部のデコボコ(叢生)もきれいに改善されていることがお分かりいただけると思います。

 

 

今回の治療例まとめ

 

今回の治療例の概要を以下におまとめしました。

同様の症状であっても患者さまにより治療方針は異なりますが、ぜひ参考にしてください。

 

  • 診断(学術的):上下顎前歯部叢生を伴うskeletal Class II、右側Angle I・左側AngleⅡ 級過蓋咬合症例
  • 治療法:非抜歯、上顎裏側・下顎表側矯正(ハーフリンガル矯正)
  • 治療期間:1年11カ月
  • 治療費:130万円(通院回数25回)すべて税込み
  • リスク:IPRによる知覚過敏、前歯部のブラックトライアングル、歯根吸収
  • 副作用:治療中の発音への影響、治療後の凸凹の後戻り

矯正治療は患者さんに協力してもらうことが必要な場合があり、この患者さんのように顎間ゴムをしっかり使った場合は治療が成功しますが、指示どおりにゴムを使用してもらえない場合は、治療が長引いたり、目標とする結果が得られないこともあります。

 

今回は、患者さまの努力のおかげで予定通りに治療が進み、私たちも大変感謝しております。