Category Archives: コラム

口ゴボと中等度の歯の凸凹の治療例

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科院長の林一夫です。

 

今回は抜歯矯正を行った口ゴボ治療の治療例を紹介させていただきます。40歳女性、口元の突出感の改善を希望され来院されました。

 

口ゴボってどんな状態?

 

口ゴボとは、文字通り「歯が前に出ているために、口を閉じた時に口元が『ゴボッ』と出ている状態」を指す俗称で、お口の中が小さい日本人にはとても多いです。

こちらの記事で詳しくご説明しています。

口ゴボとはどのような状態?原因や改善すべき悪習慣・治療法を解説

 

少し出ているぐらいならそれほど気にしない方もいらっしゃいますが、この「気になる」レベルは個人差がとても大きく、同じぐらい出ていても気にならない方がいればとても気に病んでしまう方もいらっしゃいます。

 

 

今回の症例の口ゴボについて

 

まずは治療前の横顔の写真です。

 

いわゆる口ゴボと言われる上下の口唇が前方に突出した状態であることがよくわかります。

 

口ゴボの場合、口唇閉鎖不全(口が閉じにくい)を伴うことが多いのですが、この患者さまには認められず、オトガイ部の形状は比較的正常で唇の位置が上下ともに突出しています。

 

スマイル写真です。

 

スマイルライン的には正常に近いのですが、上顎前歯が唇側に傾斜して出っ歯感が強いことがお分かりいただけると思います。

口腔内写真(正面)です。

上顎の正中線に対して下顎の正中線が右側へがわずかにズレています。

 

続いて右側の口腔内写真です。

大臼歯の前後関係は正常なのですが、上下顎の前歯が前方に傾斜していることがお分かりいただけると思います。

 

パノラマレントゲン写真です。

上下顎右側の親知らずは萌出しています。反対側はすでに抜歯されています。上顎右側第一小臼歯は根管治療が行われています。

 

 

診断と治療方針

 

診断と「どんな装置と抜歯方法」などについては以下をご覧ください。

  • 診断:上下顎前歯の唇側傾斜(歯槽性の上下顎前突)、上顎に軽度・下顎に中等度の叢生が認められる骨格性Ⅰ級症例
  • 治療方針:上顎両側第一小臼歯、下顎両側第一小臼歯の抜歯、リンガル矯正(上下顎裏側)により治療を行った。

 

治療の流れ

 

  1. 精密検査(CBCT・セファロ・模型分析)
  2. 診断・治療方針の説明
  3. 上顎小臼歯の抜歯と上顎の装置装着(裏側)
  4. 下顎小臼歯の抜歯と下顎の装置装着(裏側)
  5. レベリング・アラインメント
  6. 抜歯スペースの閉鎖
  7. 最終調整

 

口ゴボはどのくらい改善されたの?

 

治療終了時の横顔の顔面写真です。

 

口ゴボが改善され、理想的な横顔が獲得できました。

 

治療前と治療後の比較はこちらです。

こうやって比べてみるとかなりスッキリしていることがわかります。

 

治療前 治療後

 

スマイル写真です。

 

とても自然な理想的なスマイルを獲得できました。

スマイル時の出っ歯感も適切に改善され、患者さまも大変満足されておりました。

 

口腔内の写真です。まずは正面です。

上下顎の正中線も顔面正中を基準にぴったりと合っています。

また個々の歯の位置異常が適切に整えられていることがお分かりいただけると思います。

 

右側です。

上下顎前歯の唇側傾斜が改善され理想的な歯軸傾斜と上下的なかみ合わせを獲得することが出来ました。

 

親知らずの抜歯はなぜ必要だったの?

 

親知らずの抜歯について説明をします。

こちらは治療後のパノラマレントゲン写真です。

親知らずは、4本とも抜歯されています。

 

今回親知らずを抜歯したのは、術後の咬合の安定のためです。

矯正治療後に親知らずが残っていると、親知らずが後ろからいわば盾のようになってせっかく後ろに下げた歯を前に押し戻そうとする力が働きます。

その親知らずを抜歯することによって、整った歯の後戻りを未然に防ぐことができます。

 

またこの症例では、根管治療(虫歯などで歯の根っこに薬剤による消毒等の処置をする治療)を行っていた歯を抜歯し、より健康な歯を残して治療を行えることができたことも、この症例の特出すべき点です。

 

 

まとめ

 

  • 診断:上下顎前歯の唇側傾斜(歯槽性の上下顎前突)、上顎に軽度・下顎に中等度の叢生が認められる骨格性Ⅰ級症例
  • 治療方針:上顎両側第一小臼歯、下顎両側第一小臼歯の抜歯、リンガル矯正による治療
  • リスク:歯肉退縮、ブラックトライアングル、歯根吸収
  • 治療期間:3年
  • 治療費:135万円(税込み、精密検査料含む/2021年当時の治療費)

 

 

よくある質問

 

口ゴボや抜歯についてのよくある質問をまとめています。

 

Q:口ゴボの改善には長い治療期間が必要ですか?

 

A:歯の移動量や骨格によりますが、歯の位置だけでなく顎骨全体のバランスを整えるため、
抜歯を行うことが多く、そのため比較的治療期間が長くなる場合があります。

 

Q:抜歯治療により口が閉じやすくなりますか?

 

A:はい。上下顎前歯の唇側傾斜により生じている口唇閉鎖不全は抜歯治療を行うことで劇的に改善されることが多いです。

重度の開咬(オープンバイト)と口ゴボの治療例

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

今回も当院で治療を行った比較的難易度の高い症例についてご紹介させていただきます。

 

患者さま情報

 

  • 患者さま:25歳女性
  • 主訴:重度の開咬(オープンバイト)と口ゴボ
  • 診断:骨格性Ⅱ級の開咬症例(Skeletal Class II Open bite)

 

 

初診時の状態

 

横顔(側貌)から確認できる症状

 

 

  • 上下顎前歯が大きく前方に傾いており、口元の突出感(口ゴボ)が顕著です。
  • 口が閉じにくく、口唇閉鎖不全 によりオトガイ部に「梅干し状のシワ」が発現しています。
  • 下顎の後退感(いわゆる顎なし)が見られます。

 

口腔内(正面)から確認できる症状

 

 

  • 重度の開咬(オープンバイト)です。
  • 上顎歯列弓の狭窄が著しいです。
  • 強い叢生(ガタガタ歯、凸凹歯)が見られます。

 

 

口腔内(右側)から確認できる症状

 

 

  • 上下前歯の強い唇側傾斜が見られます。
  • 大臼歯は反対咬合(クロスバイト)となっています。

 

 

パノラマX線写真

 

 

上下左右に 第三大臼歯(親知らず)が4本あることがわかります。今回の治療ではこれをすべて抜歯しました。

 

開咬の症例で親知らずがある場合は抜歯することが多いです。

 

なぜ抜歯するのかには所説あるのですが、親知らずが1つ前の歯を垂直的に押す力が加わると、奥歯の咬み合わせが高くなってしまい、開咬が悪化する場合があるからと言われています。

 

診断と治療方針、治療の流れ

 

診断と治療方針は以下となります。

  • 診断:骨格性Ⅱ級の開咬症例(Skeletal Class II Open bite)
  • 主な特徴:
    口唇閉鎖不全
    上下顎前歯の著しい唇側傾斜
    歯列の狭窄と叢生
    舌突出癖の可能性
  • 治療方針
    上顎両側第一小臼歯、下顎両側第二小臼歯の抜歯
    上下顎右側第三大臼歯(智歯)の抜歯
    表側矯正(マルチブラケット装置)による治療
    必要に応じて舌突出癖の改善指導を併行

 

治療の流れ

 

以下の流れで治療を行いました。

  1. 精密検査(CBCT・セファロ・模型分析)
  2. 診断・治療方針の説明
  3. 上顎小臼歯抜歯+上顎装置装着
  4. 下顎小臼歯抜歯+下顎装置装着
  5. 抜歯空隙の閉鎖
  6. ディテーリング
  7. 保定

 

 

術後の変化(Outcome)について

 

横顔

 

 

 口ゴボが大幅改善し、また口唇閉鎖が自然になり、オトガイの緊張が消失しました。

下顎のラインも明瞭になり、美しいEライン を獲得できました。

 

正面(口腔内)

 

 

開咬が完全に改善

上下の叢生も整い、理想的なアーチフォームに

 

右側

 

 

大臼歯の反対咬合が改善し、正常な咬合関係を獲得しました。

患者さまにも大変ご満足いただけました。

 

 

治療前 治療後

 

 

まとめ

 

  • 診断:骨格性Ⅱ級の開咬症例(Skeletal Class II Open bite)
  • 主な特徴:
    口唇閉鎖不全
    上下顎前歯の著しい唇側傾斜
    歯列の狭窄と叢生
    舌突出癖の可能性
  • 治療方針
    上顎両側第一小臼歯、下顎両側第二小臼歯の抜歯
    上下顎右側第三大臼歯(智歯)の抜歯
    表側矯正(マルチブラケット装置)による治療
    必要に応じて舌突出癖の改善指導を併行
  • リスク:歯根吸収、抜歯空隙の後戻り、舌癖による開咬の後戻り
  • 治療期間:2年10カ月
  • 治療費:1,100,000円(税込、精密検査料含む/2022年当時)

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。今回も比較的重度の症例を見ていただきました。

開咬は外科手術を行うことも多いのですが、手術なしでの治療をご希望される患者さまももちろん多くいらっしゃいます。

 

日本橋はやし矯正歯科では患者さまのご希望沿った治療計画を立案し、実際に治療を行うことが出来る技術と経験があります。

ぜひ一度、カウンセリングにお越しください。

カウンセリングでは「横顔シミュレーション」を行っています。

 

当院のカウンセリングについて詳しくはこちら

 

 

開咬についてのよくある質問

 

Q1. 開咬は、手術なしでも治せますか?

 

A. 症例によりますが、非外科で治せるケースはもちろんあります。

上下顎前歯の傾斜や舌癖が原因の開咬は、適切な抜歯設計と歯軸コントロールにより改善可能です。

 

 

Q2. なぜ第一小臼歯や第二小臼歯を抜歯するのですか?

 

A. 開咬や口ゴボの改善には「前歯の後退(後方移動)」が必要なためです。特に本症例のようにⅡ級傾向の場合で口元の突出感を下げるには、

  • 上顎:第一小臼歯
  • 下顎:第二小臼歯

を選択すると、上下のバランスを整えやすく、仕上がりの横顔が美しくなります。

 

 

Q3. 抜歯すると老けて見えるって本当ですか?

 

A. 今回の症例のように適切にコントロールすれば老けるどころか横顔が圧倒的に綺麗になります。

  • 口唇閉鎖不全
  • オトガイの緊張
  • 口ゴボ

今回の症例の場合、こうした問題が改善され、むしろ若々しい印象になります。

 

 

Q4. 舌癖(舌突出癖)があると、開咬は戻りますか?

 

 

A. はい、戻るリスクがあります。

開咬の大きな原因に1つが“舌の押し出し”であるケースが多く、治療後に 舌癖が残ったままだと再発の可能性があります。

 

 

Q5. 治療期間はどれくらいですか?

 

A. 重度の開咬の場合、3年~3年半程度が多いです。

今回の症例は 2年10カ月 で治療を終えています。

 

 

Q6. 開咬を治すと、見た目以外にどんなメリットがありますか?

 

A. とても多くの機能改善が期待できます。

  • 噛む力が強くなる
  • 食べ物を噛み切りやすくなる
  • 発音の改善
  • 口唇閉鎖不全の改善
  • オトガイ筋の緊張が減る
  • 口呼吸が減少し、鼻呼吸がしやすくなる

 

見た目だけではなく、呼吸と機能面の改善にもつながるため、開咬治療はメリットが大きいです。

ガミースマイルの改善を行なった治療例(矯正治療終了後)

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林一夫です。

今回は、矯正治療終了後にガミースマイル改善のため歯肉形成を行った症例をご紹介いたします。

 

 

初診時の状態

 

初診時の横顔写真です。

 

患者さまは「口唇閉鎖不全」と、いわゆる「口ゴボ」の改善を希望され来院されました。

診断の結果、上下顎両側第一小臼歯の抜歯を行い、表側矯正で治療を行う方針となりました。

 

なお、カウンセリング時にすでにガミースマイルであることは判明していましたが、それ以上に患者さまご自身は口ゴボを気にされていたので、ガミースマイルの治療を行うと決定はしていませんでした。

 

ですが、矯正治療終了後にガミースマイルが気になり、改善したいというお気持ちがあれば治療しましょう、というお話になっておりました。

 

 

矯正治療についてを最初にご説明します

 

矯正治療の結果

 

矯正治療終了時の横顔の写真です。

治療期間は3年6ヶ月と少し長くなりましたが、口ゴボおよび口唇閉鎖不全は適切に改善されたことがお分かりいただけると思います。以下に矯正治療に関してまとめます。

  • 診断:口唇閉鎖不全、上下顎前歯の唇側傾斜、大きなover jet、軽度の叢生を伴う骨格性I級症例
  • 治療計画:上下顎両側第一小臼歯の便宜抜歯、表側矯正による治療
  • リスク:歯根吸収、術後の抜歯空隙の後戻り、ブラックトライアングルの出現
  • 治療期間:3年6ヶ月
  • 費用:110万円(税込み:2022年当時)

 

 

ガミースマイルの課題が出ました

 

矯正治療終了時のスマイル写真です。

 

歯肉の見え方が非対称であり、いわゆる臨床歯冠と言われる表面に見えている歯自体の大きさが小さく、ガミースマイルが目立つ状態になっていました。

 

何か改善策はないかとご相談をいただきましたので

『歯肉形成で歯茎の形態を整えながら、左右の対称性も確保しつつ、臨床歯冠の露出度も増加させることでガミースマイルの改善を行う処置』

を提案させていただき、進めることになりました。

 

 

歯肉形成(歯肉切除)の実際

 

実際の処置直後の写真です。

 

麻酔後レーザー治療器で歯肉を切除しながら形態を整え、左右差を無くすように処置をおこないました。術直後は、多少の凸凹感や組織が黒く焦げる部分も出てきますが、すぐに回復します。

 

 

歯肉切除、1ヶ月後の状態

 

歯肉切除後、1か月後の口腔内写真です。

歯肉のラインもきれいに整い、左右対称な形態を獲得することが出来ました。

 

スマイル写真です。

ガミースマイルも適切に完全され、より自然で審美的なスマイルを獲得でき、ご本人もとても満足しておられました。

 

ガミースマイル処置前と処置後の写真を比較してみました。

処置前 処置後

 

ガミースマイル改善のための歯肉切除のまとめ

 

歯肉切除術に関してまとめます。

  • 治療費:6万円(税込)
  • リスク:レーザーによる歯髄の炎症、術後の知覚過敏
  • 治療期間:1日
    処置は1日ですが、通常その1か月後、経過観察のために通院頂きます。

 

 

最後に

 

いかがでしたでしょうか。

日本橋はやし矯正歯科では様々な症状に対する対応が可能な矯正専門医が治療を行っておりますので、ぜひ1度カウンセリングを受けていただければと思います。

 

 

ガミースマイルのよくある質問

 

Q1. 歯肉形成(ガミースマイル治療)は痛いですか?

 

A.局所麻酔を行ってから処置をしますので、治療中の痛みはほとんどありません。

処置後に軽い違和感やヒリヒリ感が出ることはありますが、通常は数日以内に落ち着きます。

 

Q2. ダウンタイム(治るまでの期間)はどれくらいですか?

 

A.術後は歯肉が少し黒く焦げたように見えたり凸凹になりますが、これは通常の反応です。

1〜2週間程度で落ち着き、1か月後には自然な歯肉の形態に回復します。

 

Q3. 歯肉形成だけでガミースマイルは改善できますか?

 

A.歯肉の位置が原因の場合は、歯肉形成で大きく改善できます。

ただし、骨格的な原因や上唇の動きが原因の場合は、矯正治療やボツリヌス治療などを併用したほうが良いケースもあります。

 

Q4. 処置後の食事や日常生活に制限はありますか?

 

A.処置当日から通常通りの生活が可能ですが、以下の点にご注意ください。

  • 刺激の強い食べ物(辛いもの・熱いもの)は2〜3日避ける
  • 歯磨きは強くこすらず、やさしく
  • アルコール・激しい運動は当日は控えると安心

 

Q5. 歯肉形成は何年くらい持続しますか?

 

A.基本的に一度整えた歯肉は長期間安定して持続します。

ただし、歯周病や強いブラッシングが続くと変化することがあるため、定期的なメンテナンスをおすすめしています。

重度の開咬(オープンバイト)症例の治療例

みなさんこんにちは、日本橋はやし矯正歯科 院長の林一夫です。

 

今回は「重度の開咬(オープンバイト)」の患者さまに対して、外科手術を行わず矯正治療のみで改善した症例をご紹介します。

 

患者さま情報

 

  • 患者さま:38歳女性
  • 主訴:前歯で咬めない、笑ったときに前歯が閉じない
  • 診断:口唇閉鎖不全※1、上下顎前歯の唇側傾斜※2、上下顎に中等度の「負のALD※3」を有する骨格性開咬症例

※1:いわゆるポカン口を指します

※2:いわゆる出っ歯を指します

※3:歯が並ぶための必要なスペースが不足していることを指します

 

 

治療前の状態

 

正面の口腔内写真では、前歯部の上下的な開き(開咬)が約10mmあり、通常の平均値(オーバーバイト:マイナス2〜3mm)と比べてかなり大きく開いている状態です。

 

右側の写真では、

  • 第一大臼歯のみが咬合しており、小臼歯〜前歯部は接触がない
  • 咬合の支点が後方に偏っている

という、典型的な開咬パターンが確認されました。

 

スマイル写真からも、舌を前方に押し出す「舌突出癖」が見られます。

この癖は治療期間の延長や後戻りのリスク要因となるため、患者さまにも十分に説明し、できるだけ癖をやめるように気にしながら生活するようにお伝えしました。

 

 

外科手術を行わず歯科矯正のみで治療を行いました

 

通常であれば外科手術を行うべき症例でしたが「外科手術を行わず矯正治療のみにしたい」との患者さまのご希望がありました。

そこで慎重に3Dデジタル矯正での精密検査及び診断を経て、私の経験上から、矯正のみでも可能であると判断いたしました。

 

しかしながら外科手術を行わない、矯正単独治療でのリスク(主に後戻り)がありますので、そこについてしっかりと説明をさせていただき、リスクを理解していただいたうえで治療を開始しました。

 

 

レントゲン所見

 

パノラマ写真では、上下顎右側に親知らず(智歯・8番)が確認されました。

この親知らずが開咬の原因の一部である可能性が高いため(親知らずが他の歯を圧迫した結果、開咬になっている可能性がある)、治療開始と同時に抜歯を行いました。

 

 

治療方針

 

  • 上顎両側第一小臼歯の抜歯
  • 上下顎右側第三大臼歯(智歯)の抜歯
  • 表側矯正(マルチブラケット装置)による治療
  • 舌突出癖の改善指導を併行

 

 

治療の流れ

 

  1. 精密検査(CBCT・セファロ・模型分析)
  2. 診断・治療方針の説明
  3. 上顎小臼歯抜歯+上顎装置装着
  4. 下顎装置装着
  5. 上下顎右側親知らずの抜歯
  6. レベリング・アラインメント
  7. 抜歯スペース閉鎖
  8. Up and Downエラスティックによる垂直的コントロール
  9. 最終調整

 

 

治療結果

 

正面の口腔内写真では、矯正治療のみで重度の開咬が改善され、前歯部の上下的な重なりも平均的なオーバーバイト(2〜3mm)へと回復しました。

 

右側の写真でも、前歯部の唇側傾斜(出っ歯)の改善と安定した咬合関係が得られています。

また、前歯部の後退により口唇閉鎖不全も解消され、自然な口元となりました。

 

スマイル写真からも、治療後はより自然で調和の取れた笑顔を獲得でき、患者さまにも大変満足していただけました。

 

治療期間はおよそ2年で、術後のパノラマ写真では、歯根吸収もなく、良好な位置関係で歯列が安定しています。

 

 

まとめ

 

  • 診断:骨格性開咬、上下顎前歯唇側傾斜、口唇閉鎖不全
  • 治療方針:上顎両側第一小臼歯+右側智歯抜歯/表側矯正
  • リスク:歯根吸収、舌突出癖による治療期間延長、ブラックトライアングル
  • 治療期間:約2年
  • 治療費:1,100,000円(税込、精密検査料含む/2023年当時)

 

よくある質問(FAQ)

 

今回の症例に関連したよくある質問をおまとめしました。

 

Q:開咬の治療には抜歯が必要ですか?

A:矯正単独で改善を目指す場合、抜歯によるスペース確保が必要になることが多いです。また、抜歯を行った治療の方が、術後の安定性が高い傾向にあります。

Q:舌突出癖はなぜ矯正に悪い影響を与えるのですか?

A:舌が前方に押し出されると、前歯を後退させる力と拮抗してしまい、治療期間の延長や後戻りを引き起こすリスクが高まります。

そのため、舌の位置や癖のコントロールも治療成功の大切な要素になります。

 

 

院長コメント

 

重度の骨格性開咬でも、適切な診断と計画により矯正単独で改善できる場合があります。

骨格や癖の影響を正確に分析し、3D診断を活用して治療を進めることが大切です。


日本橋はやし矯正歯科では横顔シミュレーションを含むカウンセリング(税込3,000円)を行っております。

カウンセリング後に矯正治療のご契約をいただいた方にはカウンセリング料金をキャッシュバックしております。

お気軽にご連絡ください。

第4回 日本デジタル矯正歯科学会・学術大会レポート

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林一夫です。

今回は、先日開催された「日本デジタル矯正歯科学会・学術大会」の様子をレポートいたします。

 

開催概要

 

2025年9月14日(日)、第4回日本デジタル矯正歯科学会・学術大会が、東京科学大学にて開催されました。

 

本大会は韓国デジタル矯正歯科学会との共催で行われ、韓国からも多くの著名な先生方が来日し、最新の知見を共有する貴重な機会となりました。

 

学会の歩みと意義

 

私は本学会の設立時から理事として関わり、現在は副理事長を務めております。第4回の開催を迎え、学会としての成長と広がりを強く実感しました。

 

15年以上前から複数のデジタルプラットフォームを日本に導入し、セミナーや臨床研究を重ねてきましたが、やはり「一般社団法人」として学会を正式に立ち上げ、公的な学術大会を継続的に開催できることは大きな意義があります。

 

多くの先生方の協力のもと、デジタル矯正の発展に寄与できる取り組みとなってきました。

 

 

今回のテーマと内容

近年、矯正歯科界では「生成AIの活用」が注目されていますが、その根底を支えるのは、やはり基礎的なデジタル技術の進歩です。

 

今回の学術大会でも、CBCT解析、3Dシミュレーション、AI設計支援など、デジタル矯正の臨床応用に関する多くの先端的トピックが紹介され、非常に有意義な内容でした。

 

講演は10名の先生方にご登壇いただき、私はそのうち1セッションで座長を務めさせていただきました。

質疑応答も活発で、臨床家同士が率直に議論できる大変充実した時間となりました。

 

商社展示と企業参加

 

学術大会には17社以上の企業が出展し、デジタル機器・ソフトウェア・治療補助ツールなどの最新技術を展示しました。

 

企業展示は、臨床家とメーカーの橋渡しとして非常に重要であり、実際の現場で役立つアイデアが多く得られました。

 

 

学会の様子(写真紹介)

 

前夜祭の集合写真

 

講師の先生方をお招きし、交流を深める食事会を行いました。久しぶりにお会いする先生も多く、有意義な時間となりました。

 

 

講演後の質疑応答の様子

 

多くの質問が寄せられ、臨床現場に直結するディスカッションが行われました。

 

 

私も質疑応答にお答えいたしました。

 

 

座長としての進行風景

 

質問をまとめ、演者の先生方の考えを引き出しながら、会場全体の理解が深まるよう努めました。

 

 

感謝状の授与式

 

ご講演いただいた全ての先生方へ、学会から感謝状をお渡ししました。

 

 

閉会後の集合写真

 

充実した1日の締めくくりとして、関係者全員で記念撮影を行いました。

 

 

 

まとめ

 

1日の開催でしたが、内容は非常に濃く、実りある学術大会となりました。

 

疲労感よりも、デジタル矯正の進化を肌で感じられた“達成感”の方が大きく、この分野のさらなる発展に向けて、今後も臨床・教育・研究のすべてで貢献していきたいと感じています。

 

 

日本デジタル矯正歯科学会について

 

日本デジタル矯正歯科学会(JDOS: Japan digital orthodontic society)は、歯科矯正治療に関する学術研究と普及を目的とする一般社団法人です。

 

本学会は、デジタルソリューションを用いてデジタル矯正治療に関する学術、及び研究発表することで会員相互並びに国内外との連携協力団体との交流を深め、国民に対して安全、良質なデジタル矯正歯科医療の普及を図り、国民の健康増進及び福祉の向上に貢献することを目的としています。

 

日本デジタル矯正歯科学会(JDOS)公式サイト:https://j-dos.org/