顎変形症でお悩みの方のご相談をしばしばお受けしますので、今回はQ&A方式も交えて詳しくご説明します。
顎変形症とは
顎変形症とは上顎の骨(上顎/じょうがくといいます)や下顎の骨(下顎/かがくといいます)の形状、大きさに異常があるためバランスが取れていない病気です。
お顔(顔貌/がんぼうといいます)の見た目に影響を及ぼしたり、歯の咬み合わせが悪く、咀嚼や発音に困難があったりと生活に支障をきたしてしまうこともあります。
顎変形症の種類は以下のようなものがあります
下顎前突症
下顎が突き出た状態で、いわゆる「受け口」を指します。
口腔内写真 | 側貌(横顔)写真 |
小下顎症
顎が小さい、いわゆる「顎なし」を指します。
口腔内写真 | 側貌(横顔)写真 |
上顎前突症
上あごが突き出ているいわゆる「出っ歯」を指します。
口腔内写真 | 側貌(横顔)写真 |
開咬症(オープンバイト)
前歯が噛み合わない状態を指します。
口腔内写真 | 側貌(横顔)写真 |
顔面非対称
主にお顔の左右が対象ではなく歪んでしまっている状態を指します。
口腔内写真 | 正貌(正面)写真 |
顎変形症の治療について
顎変形症はどうやって治すの?
顎変形症と診断された場合は外科手術を伴う歯科矯正で根本的に治すのが一番です。
コラムの後半で治療方法についてご説明します。
顎変形症はどの科で相談すればいいの?
まずかかりつけの歯科医に相談し、矯正歯科を紹介されるパターンが多いようですが、顎変形症の治療ができるのは顎口腔機能診断施設の認定を受けているクリニックのみになりますので注意が必要です。
事前に矯正歯科を調べておくのも良いでしょう。
顎変形症の診断はどこがするの?
顎変形症の診断は矯正歯科が行います。レントゲン撮影や専門のCTでの撮影を経て矯正歯科の診察など、そして口腔外科や形成外科が検査や評価を行います。
診断基準は、顎が歪んでいることはもちろんですが、歯並び等の異常が認められるか、またそれが顎の歪みに起因しているかなどがあります。
診断のタイミングは、通常矯正治療に入る前にレントゲン、歯科用CTでの撮影をしますのでその段階で確定します。
確定されたら「外科的矯正治療」をする場合は保険が適用されます。
ご本人が「顎変形症では」と気にされてカウンセリングに来られても、実は歯並びのみの問題で顎変形症ではないということも少なくありません。
その場合の矯正治療はもちろん保険適用外となります。
顎変形症の治療はどんなもの?
顎変形症の治療はその多くが外科手術を伴う歯科矯正になります。
つまり歯列矯正を行う矯正歯科と外科手術を行う口腔外科/形成外科がタッグを組んで行うもので「外科的矯正治療」または「サージェリーファースト」での治療が必要となります。
顎変形症の治療法:外科的矯正治療とサージェリーファースト
外科的矯正治療とサージェリーファーストは「外科手術と矯正治療を行う」という点では同じですが、治療の順序、保険適用の有無などが異なります。
外科的矯正治療について
下顎の黒が術前、赤が術後です。
このように骨そのものを手術で動かします。
外科的矯正治療の特徴は「外科手術の前に歯列矯正を行う」という点と、「保険が適用される」という点です。
外科手術の前に歯列矯正を行う理由は、手術後の顎位の安定のためです。
また手術の前に歯列矯正をを行う方が術後の後戻りのリスクが減ります。
デメリットとしては
- 術前術後の歯科矯正があるため治療が長期化する点(4-5年かかることも少なくありません)
- 手術前の歯列矯正で一時的に咬み合わせが悪くなりやすい
などが挙げられます。
外科的矯正治療について詳しくはこちらをご覧ください。
※保険適用になった場合は、患者さまのご希望で矯正装置等をお選びすることは原則としてできません。
外科的矯正治療が抱えていた課題と解決策
外科的矯正治療は治療中の審美的な側面をいわば考慮しない治療法です。
ですが例えば顔面非対称や下顎前突など、顔貌の深刻な悩みを持つ方はまずそこを治したいと!強く思われています。
しかし外科的矯正治療の場合、治療中のご自身のお顔に不安を持ったり、一時的にでも以前以上に咬み合わせが悪くなったりなどのQOLの低下が課題でもありました。
見た目の問題は精神的にも負担が大きいもので、決して軽視して良いものではありません。
加えて長期にわたる治療期間を苦痛に感じる方も少なくありません。
そこでサージェリーファーストは、外科的矯正治療で問題となっていた審美的な改善及び治療期間の短縮が実現するものとして誕生しました。
サージェリーファーストについて
このように精密な計画をし、外科手術と矯正歯科治療の連携を行います。
サージェリーファーストとはその名の通り「サージェリー(手術)」を先に行う矯正治療法です。
顎変形症の根本的な原因である顎の歪みを外科手術で改善することにより、まず顔貌が改善するので患者さまの精神的な負担も軽減します。
外科手術を終えてから通常の矯正治療と同様に矯正装置による治療を進めますので、この段階でも歯列が悪化するような心配はありません。
また、最初に外科手術を行うので治療期間は外科的矯正治療に比べ圧倒的に短いのが特徴で、治療期間が半年から1年というケースも珍しくありません。
デメリットとしては保険が適用されないという点ですが、費用の負担と治療期間等の問題、そしてQOLの問題をよく考え、ご自身の生活に最適な治療法をお選びいただくと良いと思います。
サージェリーファーストについて詳しくはこちらをご覧ください。
顎変形症はまず確定診断が必要です。
「顎がずれているかも…」とご不安な方はまずは無料カウンセリングをお受けいただくことをお勧めします。
日本橋はやし矯正歯科は外科的矯正治療、サージェリーファースト共に豊富な治療実績がありますので、お気軽にお越しください。