「横顔美人」という言葉があるように、横顔は正面から見たときの印象と大きく変わることがあります。
自分の横顔を見たときに、口元の盛り上がりやバランスが気になる方は、「口ゴボ」の状態になっている可能性があります。口ゴボは口元にコンプレックスを感じる大きな要因の一つです。
この記事では、口ゴボの概要、悪化する習慣、治療方法について解説します。
口ゴボは見た目の問題だけでなく、放置しておくとさまざまな症状を引き起こすリスクもあります。
口ゴボについての理解を深め、自分にあった治療法を見つけることで、美しい口元を目指しましょう。
口ゴボとはどのような状態?
口ゴボとは、口元が前に飛び出したような状態です。一般的に横顔は、鼻先と顎先を結んだ線の内側に唇がある状態が美しいといわれています。
鼻先と唇と顎先をつないだ線は「Eライン」と呼ばれ、顎が出ていたり、唇が飛び出したりしているとバランスが悪く見えます。
口ゴボは病気ではありませんが、口元が突き出ている見た目にコンプレックスを感じる方も少なくありません。
上顎前突(出っ歯)が原因で口ゴボになっている場合は、整ったEラインと比べると、鼻の下が長くなり間延びした印象になります。
口ゴボの種類
口ゴボには、「上顎が出ているタイプ」「上顎・下顎が出ているタイプ」の2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
上顎が出ている
上顎が出ている状態は、医学用語で上顎前突(じょうがくぜんとつ)といいます。
一般的には出っ歯と呼ばれており、前歯が突出していたり、前歯が斜め前方に生えていたりする歯並びを指します。前歯が大きい場合も唇を閉じるのが難しく、上顎が出やすいです。
口を閉じたときに下唇に溝があらわれたり、筋肉のこわばりを感じたりする場合は上顎が出ている可能性があります。
上顎・下顎が出ている
上顎・下顎が出ている状態は、医学用語で上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)といいます。
上下顎前突は上顎と下顎の前歯が突出していたり、上顎と下顎の前歯が斜めに生えていたりする状態です。
上下顎前突であっても両顎のバランスが整っていれば、噛み合わせに問題がないケースもありますが、鼻先と唇と顎先をつないだEラインから上下両方の唇が突き出て見えます。
口ゴボと間違えやすいアデノイド顔貌
アデノイド顔貌(がんぼう)とは、鼻の奥にあるリンパ組織の肥大化が原因で現れる顔の特徴です。
アデノイドの肥大は、急性中耳炎・鼻詰まり・口呼吸などの症状を引き起こします。
さまざまな症状の中で、アデノイド顔貌に大きな影響を与えるのが口呼吸です。
口呼吸が習慣化することで下顎の筋肉の成長が妨げられて、口元が突き出ている、下顎が後退している、顔が丸みを帯びているという顔貌に変化します。
アデノイド顔貌は、口元が突き出ているという口ゴボと同じ特徴を持ちますが、基本的に下顎の成長が不十分な状態をアデノイド顔貌と呼びます。
ただし、口ゴボは正式な医学用語ではなく定義も曖昧です。
上顎に比べて下顎が小さければアデノイド顔貌の可能性が高いですが、安易に自己判断せず医師に診断してもらいましょう。
口ゴボが悪化する習慣・癖
口ゴボは遺伝や骨格の問題もありますが、後天的な習慣・癖で悪化するケースがあります。
ここでは口ゴボが悪化する習慣・癖を紹介します。
口呼吸
呼吸には鼻呼吸と口呼吸があります。
鼻呼吸は吸い込んだ空気に含まれる雑菌・異物をろ過する仕組みが備わっており、健康にもよいとされています。
一方、口呼吸には風邪を引きやすい、口臭が強くなる、歯並びが悪くなるなどのデメリットがあります。
口呼吸では空気の通り道を確保するため、口が常に開いた状態です。
口呼吸を続けていると筋肉も衰えてくるため、口周りがだらしない印象になりやすく、歯並びへも影響が出ます。
また自然と舌先が前歯の裏についてしまうため、無意識のうちに前歯を押し出してしまい口ゴボが悪化しやすくなります。
下唇を噛む
ストレス・怒り・寂しさを感じたときに、下唇を噛むことで感情をコントロールする癖を持っている方も注意が必要です。
下唇を噛むためには上の前歯を突き出す必要があるため、少しずつ斜め前方に傾いてしまう可能性があります。
爪を噛む
爪を噛む癖も口ゴボの悪化につながります。
下唇と同様に、爪を噛むときも上の前歯が斜めに傾きやすいため、できる限り癖を治すことが大切です。
手袋をはめて爪が噛めないようにする、ガムを噛んで気持ちを紛らわす、爪噛み防止のマニキュアを塗るなど、自分に合った対策を取り入れてみましょう。
指しゃぶり
指しゃぶりは主に子どもに見られる習慣です。
乳児期の指しゃぶりであれば、口ゴボに大きな影響はありません。
ただし、年齢を重ねても頻度が変わらない場合は、口ゴボの原因となるため対処が必要です。
指をしゃぶることで、歯が正しい位置に生えづらい、前歯が斜めになりやすいという問題につながります。
すべての歯が生え揃う3歳を過ぎても指しゃぶりがなくならない場合は、外遊びを増やしたり、絵本を読んだりして気を紛らわせてあげましょう。
間違った舌の位置
本来、舌の位置は上顎に触れているのが正しい状態です。
口を閉じているときに、前歯の裏に触れていたり、下顎の方に落ちたりしているのは、間違った位置となるため注意しましょう。
特に気を付けたいのが、舌で前歯を押し出す癖です。
口の中から押し出す力が加わることで、口ゴボが悪化し口元のバランスが崩れやすくなります。
口ゴボの治療方法
癖を治すことで口ゴボの悪化を防ぐことはできますが、すでに前歯が飛び出したり、斜めに傾いたりしている場合は自力での改善が困難です。
口ゴボに対処するためには、歯科矯正治療が有効です。
ワイヤー矯正(表側・舌側)
歯科矯正治療といえば、ワイヤーの引き締めで調整する「ワイヤー矯正」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ワイヤー矯正は歯の表面・舌側にワイヤー状の器具を装着して、歯並びを整えていく方法です。
これまでは見た目を気にしてワイヤー矯正を避けるケースもありましたが、現在は目立たない器具や舌側(裏側)への装着も可能となり、治療の選択肢が広がっています。
マウスピース矯正(シュアスマイルアライナー)
マウスピース矯正は、透明のマウスピースを装着して歯の位置を整えていく方法です。
矯正用のマウスピースは自由に着脱できますが、装着している時間が長いほど治療期間は短くなります。
口ゴボをできるだけ早く治したいのであれば、装着したままの就寝がおすすめです。
マウスピース矯正で使用する器具は透明で目立ちにくいため、希望する方も多いですが、歯並びによって装着できない可能性があるので注意しましょう。
サージェリーファースト(外科的矯正)
サージェリーファーストは、外科手術と歯科矯正を組み合わせた治療です。
初めにに外科手術で顎の骨の位置を動かすことで、治療の効率化を実現します。
サージェリーファーストは重度の口ゴボに悩んでいる方、見た目をできるだけ早く整えたい方に向いています。
ワイヤー矯正、マウスピース矯正、セラミック矯正は歯並びを整えることはできますが、上下の顎が大きくずれていると高い効果は見込めません。
上顎が突出している、下顎が後退しているなど顎の骨に問題がある場合は、サージェリーファーストも検討してみましょう。
ただし、外科手術で顎の位置を大きく動かすため、一時的に噛み合わせが不安定になります。
また外科手術は保険適用外となるため、費用についても事前の確認が必要です。
口ゴボだと何が困るのか?
口ゴボは病気ではないので治療が必須なものではありません。
一方で、口ゴボを放置してしまうと、さまざまな悪影響・リスクがあります。
見た目のコンプレックス
口ゴボが原因で見た目にコンプレックスを感じるケースは少なくありません。
口元が飛び出している、鼻の下が長く見えるなどコンプレックスを抱くポイントは人によって異なります。
口元を手で隠すことが癖になったり、口を閉じてしか笑えなくなったりと、生活に支障が出る可能性もあります。
せっかく楽しいひと時を過ごしていても、口元が気になってうまく笑えないことが続くと、気持ちも落ち込みやすくなるでしょう。
虫歯・歯周病のリスク
口ゴボの場合、口元が開きやすく口呼吸になりやすい傾向があります。
口呼吸になると口の中が乾燥して、虫歯や歯周病リスクが高くなります。
口ゴボは歯並びのトラブルを抱えているケースも多く、歯磨きで取り切れない汚れが虫歯や歯周病につながることもあります。
顎・胃腸への負担
上顎前突(出っ歯)の場合、噛み合わせが悪く顎や関節への負担が大きくなります。
歯並びに歪みがあると、決まった部分だけで咀嚼するようになり、さらにバランスが崩れる悪循環に陥ります。
また、食べ物を噛みきれずに飲みこむことが増えれば、胃腸にダメージを与えかねないため注意が必要です。
口ゴボは口周りのトラブルだけでなく、放置しておくことで身体のさまざまな不調を引き起こす可能性があります。
まとめ
口元が前に飛び出した口ゴボには、ワイヤー矯正、マウスピース矯正、サージェリーファーストなど、さまざまな治療法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、矯正歯科の専門医に相談して自分にあった治療法を見つけることが大切です。
日本橋はやし矯正歯科では、デジタル矯正システムを活用して最適な治療をデザインすることができます。
初回カウンセリングは無料でご利用いただけますので、まずはお気軽にご相談ください。
サージェリーファースト (外科矯正) – 【公式】日本橋はやし矯正歯科