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デジタル技術時代の歯科矯正医のあり方とは

2015/09/03 01:07:39

日本橋はやし矯正歯科 院長 林 一夫

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・日本矯正歯科学会認定医
・日本矯正歯科学会指導医
・日本顎関節学会専門医
・日本顎関節学会指導医
・デンツプライシロナ公認 SureSmile/Adance/Orhto/Aligner ファカルティ・ドクター/インストラクター・ドクター

Orametrixインストラクター研修の林先生

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科です。
お悩みの方は当院の無料カウンセリングも是非ご検討ください。

 

デジタル技術時代の歯科矯正医のあり方とは、後述するように、

 

デジタル技術というパワフルなツールを利用することによって正確な患者情報にアクセスすることができ、その情報を有効活用できる環境づくりをしていく

 

ということが重要だと思っています。

 

 

皆さん、こんにちは。今回はデジタル矯正治療のあり方について考えてみたいと思います。

 

少し専門的な内容になってしまうかもしれませんが、治療を行う医師にはその”理念”や”哲学”も非常に大切な要素になって来ますので、私の考え方が少しでも伝われば嬉しいと思います。

 

ノースカロライナ大学での林先生

2008年、ノースカロライナ大学のProffit先生、Ko先生と共に。

 

 

トフラーが予言した情報化社会がもたらしたもの

 

未来学者のアルビン・トフラー(アメリカの評論家、作家、未来学者)をご存知でしょうか?

彼は今ほどデジタル化が進んでいなかった1980年代当時には誰も想像しなかった”情報化社会”を予言し、当時の社会に大きな影響を与えました。

 

彼はその著書の中で「情報化社会では、脱大量化、多様化、カスタム化によってその変化が加速されるだろう」と未来を予測しました。

そしてインターネット技術・デジタル技術が進んだ現在、彼の言葉通りに進化を続けています。

 

もちろん矯正治療の領域でも、デジタル技術の発展とともに類似の変化が進行していると思います。しかし、この情報化社会の中で新たな問題も発生しています。

 

  • 重要な新しいアイデアの有効期間がますます短くなっている
  • 新しい技術が次から次へと出現する

といった問題です。こうした状況の中で常に新しいデジタル技術を矯正歯科治療に融合させようとする場合、その費用は決して安いものではありません

私たち矯正科医が、計画し期待する変化に合わせて「最適なデジタル技術を、必要に応じて選択して、適用する」ことがとても重要であると考えます。

 

 

新しい技術だけではなく忘れてはならない基本

 

どんなに高度な技術が発展し、多くのアイデアがあふれ出てくるとしても、決して変わらない基本は存在しています

 

Dr. Zachrisson(オスロ大学)の言葉のように「最終的に矯正医は、歯だけでなく、歯を含む硬組織と軟組織の両方を考慮して治療する必要がある tissue engineer(※)である」と考えることができます。

 

※tissue engineer=ティッシュ・エンジニア。米国で生まれた比較的新しい考え方で、人体の臓器や組織を代替品を用いて作り出す、生命科学と工学の融合を行う技術者を指します。詳しくはまたこのコラムで説明して行こうと思います。

 

 

患者様に最善の治療を提供するために、洗練された良いtissue engineerになるには、診断と計画と実際の治療の過程一つ一つを疎かにせずに集中すべきだと考えます。

矯正治療にsuresmileなどのデジタル技術を組み合わせることも、決してこの原理から離れるものではなく、もしかしたら、より便利で簡単にその原理に忠実であろうとする努力の一環だと考えることが出来るかもしれません。

 

つまり、デジタル矯正治療におけるinnovation(革新)の最終目標は、

デジタル技術というパワフルなツールを利用することによって正確な患者情報にアクセスすることができ、その情報を有効活用できる環境づくり

であると考えます。

 

 

矯正治療にデジタル技術がもたらすもの

 

矯正領域でデジタル技術を適用すると、確かに「診断、治療計画、実際の治療の全過程」をより簡単かつ快適にしてくれるのは事実です。

例えば以下のような例が分かりやすいでしょう。

 

  1. 立体的な三次元情報を読み取ることで、患者様の解剖学的構造や、医師の治療哲学などをそのままダイナミックな視覚データとして具体化させることができる
  2. すべてのデータをネットワーク技術を利用して、他の分野の先生や、患者様と情報を共有することができる
  3. 多様で精密な三次元データをもとに、治療の前に、様々なシミュレーションを試みることで、最良の治療計画を立案することができる
  4. 最後に、このすべての利点が、最終的な治療結果を向上させる原動力になる

 

近年は矯正の領域だけでなく、様々な分野で「デジタル」技術が用いられています。

今後は間違いなく、「デジタル技術を導入するのかしないのかではなく、デジタル技術をどの程度、またどのように適用するのか、すなわち、デジタルテクノロジーの効率的な適用および運用について考えなければならない」という時代が訪れることになります。

 

Orametrixインストラクター研修の林先生

2015年、Orametrix社でsuresmile systemインストラクタードクターとしての研修(右から2人目)にて。同じ目標を掲げる素晴らしい仲間たちと。

 

矯正治療のデジタル技術の適用と革新

 

社会心理学者が言う”適用”(application)の意味を見ると以下のような内容が確認できます。

 

  • いくつかの特別な用途や目的に何かを新たに入れる行動、またはその何かを実際に活用すること
  • 綿密に注意集中をして継続的な努力を傾ける行動

 

私は、矯正科医が知っておくべきデジタル技術の”適用”である「正しい活用法」のすべての答えが、ここにあると考えています。

また“革新”(innovation)という言葉は、こんにち、すべての分野で最も多く使われる言葉ではないかと思います。その意味を具体的にビジネス関連辞書で探してみると

アイデアや発明が、社会的意義のある新たな価値を創造し、顧客が喜んでよりコストを支払うことができる製品やサービスに変化する過程である。

と書かれています。結局のところ、suresmileなどを基にしたデジタル矯正におけるinnovationの最終的な目標は、まさにこれではないかと私は考えています。

私の願いは「デジタル矯正が、その支払うコストに相応した明確な価値をもつ、真のinnovationになること」であり、今後もできる限りの努力を続けていこうと思っています。

日本橋はやし矯正歯科 院長 林 一夫

資格ドクターの紹介はこちら

・日本矯正歯科学会認定医
・日本矯正歯科学会指導医
・日本顎関節学会専門医
・日本顎関節学会指導医
・デンツプライシロナ公認 SureSmile/Adance/Orhto/Aligner ファカルティ・ドクター/インストラクター・ドクター

経歴

1995年 北海道医療大学歯学部卒業
1999年 北海道医療大学大学院歯学研究科歯学専攻博士課程修了・学位取得
1999年 海道医療大学歯学部矯正歯科学講座 助手
2003年 アメリカ・ミネソタ大学歯学部口腔科学科 客員研究員
2006年 北海道医療大学歯学部矯正歯科学講座 講師
2007年 北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系歯科矯正学分野 講師
2007年 北海道矯正歯科学会 理事
2008年 アメリカ・ノースカロライナ大学歯学部矯正科 客員教授
2008年 北海道医療大学歯学部口腔構造・機能発育学系歯科矯正学分野 准教授
2011年 Digital Orthodontics 研究会 副会長
2015年 日本橋はやし矯正歯科 開院
2018年 K Braces矯正歯科原宿駅前 総院長就任
2021年 日本デジタル矯正歯科学会 副会長就任
2002年 11月 日本矯正歯科学会認定医(第2293号)
2007年 8月 日本矯正歯科学会指導医(第608号)
2013年 5月 日本顎関節学会専門医(第343号)
2013年 5月 日本顎関節学会指導医(第208号)

治療内容について