みなさんこんにちは、日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。
今回は私たち日本橋はやし矯正歯科で運用しているデジタル矯正システム“suresmile system”の治療の効果(治療期間の短縮)についてお話したいと思います。
「デジタル矯正システムで、治療期間が短縮できるか?」この問いに対し、治療結果のデータからは「短縮されている」という結論を導き出すことができます。
それでは、以下に説明をしていきましょう。
目次
【4万人以上の治療結果が裏付ける短縮時間】
suresmileを開発したOraMetrix社では、ほぼすべての治療結果に関するデータを蓄積し、以下の結論を独自に導き出しています。
4万人以上の患者における治療結果からsuresmileを用いることによって治療期間を約30%短縮することができる。
短い治療期間はすべての患者様が最も重要視されている項目ですし、これが事実ならばsuresmileを用いた矯正治療はとても良いものだと思います。
しかしながら、独自のデータはどうしてもバイアスがかかることが多いため、その他の論文も引用し、私なりにsuresmileを用いた場合の矯正治療の治療期間の短縮について考察してみたいと思います。
【学術論文を元にして、それぞれの論文の結果をまとめたものです】
現在、学術論文の検索は、ウェブ上のデータベースで簡単に行うことができます。世界的によく用いられている
- PubMed
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed - Web of Science
研究機関専用のデータベース。契約しないと閲覧できないサイトなので、ここではURLは伏せさせて頂きます。
これらのサイトで
- “suresmile” をキーワードとして検索
- その結果、17編の論文が検出された
- そこから発表された年が新しい順に4つの論文を選択
- さらに私がOraMetrixとの共同研究プロジェクトの際に用いた他大学の学会発表用の研究データを追加
上記の条件で計算しました。こちらの図は、その結果をグラフにまとめたものです。
デジタル矯正システムを用いることによる矯正治療の治療効果(治療期間の短縮)に関する項目をまとめると、次のようになります。
■最も治療結果が短縮された報告では、従来の矯正治療と比較して約47%短縮された
これは今までの矯正治療で平均的に約2年間の治療期間が必要であったのに対し、suresmileを用いることによって、平均的な治療期間が約1年間に短縮されたということです。
■すべての報告の患者群で治療期間の短縮が認められ、その範囲は29~47%
各研究で用いられた被験者数は33~89人であり(被験者数は多いほうが良い)、ある程度信頼できる結果であると考えます。
しかしながら
「日本人に多い歯を抜いて行う治療」
と
「欧米人で多い歯を抜かないで行う治療」
が混在している結果ですので、今後、より詳細な調査・研究を、私を中心とした研究プロジェクトで報告したいと思っています。
そしてさらに、suresmileなどのデジタル矯正を適切に用いることにより「歯を抜く必要がある難しい治療でも、確実に治療期間を短縮できるという明確な科学的根拠を示すことができる」と考えています。

2013年、テキサス州ダラスでの suresmile ドクター・カンファレンス。
久保田先生、上地先生、田上先生、蓮田先生とともに。
※参考文献:
Sachdeva RC, Aranha SL, et al., Treatment time : Suresmile vs conventional. Orthodontics; 13(1):72-85, 2012.
Alford TJ, Roberts WS, et al., Clinical outcomes for patients finished with the suresmile method compared with conventional fixed orthodontic therapy. Angle Orthod. 81(3):383-388, 2011.
Larson BE, Vaubel CJ, et al., Effectiveness of computer-assisted orthodontic treatment technology to achieve predicted outcomes. Angle Orthod. 83(4):557-562, 2012.
Saxe AK, Louie LJ et al., Efficiency and effectiveness of suresmile. World J Orthod. 11(1):16-22, 2010.