一回矯正治療を受けたが、何らかの理由で途中で辞めてしまったり、矯正治療が終わっても思ったようにならなかった(患者さまの思いとしては「失敗した」となります)ということもあります。
思ったようにならなかったケースとしては
- 後戻りが生じてしまった
- 治療したがそれほど変わらなかった
- もっと歯並びが綺麗になると思った
- 顔貌が変わってしまった
- 目的の歯列は整ったが他の問題が生じてしまった
などが挙げられます。
再矯正を望むケースについて
再矯正を望まれる主なケースには以下のようなものがあります。
後戻りしてしまった
矯正治療が終了しても、歯はそこにずっと収まってくれるわけではありません。
装置で力をかけて歯を移動しているので、当然歯は元のところへ戻ろうとします。
これを防ぐために「リテーナー」という保定装置を当分装着していただきます。
このようなもので、さまざまな種類があり、矯正歯科医がそれぞれの状態に最適なものを選び使用していただきます。
ですがリテーナーの使用をしっかりと患者さまにクリニック側がお伝えしなかったり、患者さまご自身がリテーナーの使用をサボってしまったりすることがあります。
そうすると、思いの外早く歯は元の位置へ戻るためズレていってしまいます。
舌や唇の癖がある
舌や唇の動きの癖も歯並びを悪くする原因となり、そもそも元の歯並びの悪さもこれに一因がある場合があります。
これらを口腔習癖(こうくうしゅうへき)と呼び、お子様の場合は指しゃぶりなどもその代表です。
舌を噛む癖があると開咬(オープンバイト)のリスクが高くなります。
特にお子さまは要注意です。
大人の方の口腔習癖で歯並びに影響を及ぼす可能性があるものとして、以下のような例があります。
- 下で前歯を押す癖(舌突出癖/ぜつとっしゅつへき)
- 前歯で唇を噛む癖(咬唇癖/こうしんへき)
- 爪を噛む癖(咬爪癖/こうそうへき)
- 口呼吸をする癖
- 歯ぎしり
こういう癖について、矯正治療中に矯正歯科医が指導等をしてくれれば良いのですが、歯科医が気づかなかった、または気づいても指導をしていなかった場合は、そもそも「癖を意識していない」ことが多いのでどうしても歯並びに影響が出てしまいます。
思ったようにならなかった(治療への不満)
矯正治療後に「思ったようにならなかった」というのは意外と多いようです。
仕上がりが満足いかなかったり、治したいところが完全に治っていなかったり、歯並びに他の問題が生じてしまったりなどその理由はさまざまです。
治療の不満の原因は主に二つあります。以下のいずれかが当てはまることがほとんどです。
歯科医の矯正技術・知識不足
いわゆる「歯医者さん」が片手間に矯正治療を行なっている場合があります。
※最近よく聞く「格安マウスピース矯正」も普通の歯医者さんが行なっている場合が多いです
矯正治療はこれまで当サイトのコラムで幾度もお話しているように「見えている歯の部分」だけでなく「歯の根っこ」が動き、顎の骨やその周囲の組織が大きく影響を受けるものです。
そして歯の動きもとても複雑でシミュレーションが不可欠なのですが、そういう知識や技術がなく安易に治療を行なって、大きな失敗例になってしまうケースがあります。
矯正歯科医と患者さまのコミュニケーション不足
しっかりした矯正歯科で行った治療で納得がいかなかったという場合は、そのほとんどの原因が「コミュニケーション不足」です。
きちんとシミュレーションをして治療計画を立てられるクリニックに通い、治療結果に満足がいかなかった場合の多くが、患者さまと歯科医の間のコミュニケーションが不足しています。
矯正専門医で治療した場合は治療自体の大きな失敗というのはあまりないのですが、治療目標を患者さまにしっかりと説明して理解いただく必要があります。(これをインフォームドコンセントといいます)
ですがこれが欠けていたり、リスクや副作用の情報を伝えていないと患者さまのご不満に繋がってしまいます。
患者さまのご質問等に安易に良いことばかりを言ってしまうと患者さまの期待ばかりが高まってしまい、かえってトラブルを生じる原因になりますので、デメリットやリスク等についてもしっかり話をしてくれる方が望ましいのです。
クリニック選びは「良いことばかりを言う矯正歯科医」ではなく「リスク等もしっかり言ってくれる矯正歯科医」を選んでいただきたいと思います。
再矯正ってしてもいいの?
再矯正は最初の矯正に比べて歯根吸収などのリスクがどうしても高くなりますが、以下に説明するケースを除けば可能です。
当院ではご希望のすべてを叶えることは難しくても、できるだけ患者さまの思いに近づけるようにコミュニケーションを取りながら行います。
再矯正ができない場合
以下の場合は再矯正は原則としてできません。
- 抜歯で前歯を後退させているのにもかかわらず、元の位置まで歯を戻してほしいという場合
- 抜歯で可能な限り前歯を後退させているのにもかかわらず、さらに前歯を後退させてほしいという場合
- 非抜歯治療ご希望なのにもかかわらず、口元を積極的に後退させて欲しいという場合
どこで再矯正をするか
このようにさまざまな理由で仕上がりに満足がいかず、再矯正をしたいという方からのご相談はしばしばあります。
保定期間中に後戻りが生じてしまった場合などは矯正歯科専門医が在籍しているのであればは元のクリニックで良いと思います。
ですが、以下のようなケースであれば他のクリニックに変えたほうが良いかもしれません。
- 主な症状が治らなかった
- 噛み合わせ等が悪くなった
- ドクターと相性が悪い・信頼できていない
- 最初に聞いていた治療結果と違っていた
再矯正をする際のクリニック選び
矯正治療をすると歯や歯の根っこの位置が変わるので、そこからまた動かすとなると歯根吸収などのリスクがさらに高くなります。
3Dデジタル矯正を導入し、顎の骨や歯の根っこまでもモデル化してシミュレーションができるクリニックであれば前もってリスクを把握しできるだけ回避できますのでおすすめです。
日本橋はやし矯正歯科は日本でもまだ少ない3Dデジタル矯正をすべての矯正治療に導入し、安全性の高い矯正治療を行なっております。
お気軽にカウンセリングにお越しください。