みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。
今回は、重度の口ゴボと口唇閉鎖不全を持つ患者様の治療例をご紹介したいと思います。
口ゴボの症例は今までもご紹介してきましたが、今回の症例は重症度が高い症例です。
口ゴボの治療例をご紹介します
口ゴボの説明と治療法などについてはこちらで解説しています。
口ゴボとはどのような状態?原因や改善すべき悪習慣・治療法を解説
口ゴボと出っ歯をサージェリーファーストで改善した治療例です。
サージェリーファースト:口ゴボ、出っ歯、ガミースマイルの治療例
口ゴボをマウスピース矯正(アライナー矯正)で改善した治療例を紹介しています。
アライナー矯正(マウスピース矯正)とワイヤー矯正の違い-6選
口ゴボを改善したスタッフの矯正体験レポート。ここでは矯正用インプラント(アンカースクリュー)などについても詳しく説明しています。
矯正体験レポート【スタッフB】(1)出っ歯、口ゴボ、ガタガタ歯が悩み!
今回の患者さまの症状の概要
まず患者さまの主な症状をまとめました。
- 口ゴボ
- 出っ歯
- 口唇閉鎖不全(ポカン口と呼ばれる状態です)
- 下顎後退(顎なしと呼ばれる状態です)
- 正中線のズレ
- 下顎のオトガイ部分に梅干し状の隆起
様々な症状が現れています。
次に各症状について、写真をもとに詳しく説明して参ります。
初診時の患者さまの状態
こちらは正面のお写真です。

下顎のオトガイと言われる部分に「梅干し状のしわ」(梅干し状の隆起ともいいます)があります
口唇閉鎖不全の場合に典型的に認められる症状で、重症度が高い場合はこのしわが強く出現します。
次に、側面のお写真です。

著しい口ゴボの状態で、医学的には“歯槽性の上下顎前突”と表現されます。
またこの患者さまの場合は下顎の後退感が強い、いわゆる「アゴ無し」の状態も強く認められます。
下あごが後方に位置することで、より口ゴボの状態が強調され、矯正治療のみでは根本的な解決にはならない場合もあり、治療が難しい症例と言えます。
正面からの口腔内写真をみてみましょう。

歯列正中線が多少ズレており、前歯部も凸凹しています。
側面からの口腔内写真がこちらです。

上下顎前歯は前方に傾斜(唇側傾斜と言います)していることが分かります。
アンカースクリューを用いてのハーフリンガル矯正を選択
重度の歯槽性の上下顎前突症例と診断し、上下顎両側第一小臼歯を抜歯して治療を行うこととしました。
可能な限り前歯を後退させて口ゴボを改善する必要があるので、アンカースクリューを用いる計画となりました。

今回用いたアンカースクリューはパラタル・レバー・アーム・システムと呼ばれるもので写真の様な構造をしています。
口ゴボが改善、Eラインを獲得!
正面からの治療後のお写真です。

正面:正面から見ても口元の突出感が劇的に改善されたことがお分かりいただけると思います。
梅干し状の隆起も消失し、すっきりした口元になりました。
治療後の側面のお写真はこちらです。

側貌:口ゴボが非常に効果的に改善され、ほぼ理想的なE-lineを獲得することが出来ました。
重症な症例でここまで綺麗なEラインになったのはこちらも本当に嬉しいです。
正面からの治療後の口腔内写真です。

上下の歯の正中もあっています。凸凹も改善されより良い歯並びとかみ合わせを得ることが出来ました。
側面の治療後の口腔内写真です。

上下顎前歯の唇側傾斜が改善され、理想的な前歯の傾きと、奥歯の咬み合わせを得ることが出来ました。
歯の移動量が大きかったので歯根吸収のリスクが高い治療でした。治療前後のレントゲンで確認したところ、歯根吸収は認められず、歯周組織の状態も良好でした。
治療期間は1年10カ月でした
以下に今回の治療例をおまとめします。
- 診断(学術的):上下顎前歯の唇側傾斜(歯槽性の上下顎前突)を伴う骨格性Ⅱ級症例
- 治療法:上下左右第一小臼歯(4番)の便宜抜歯、上顎裏側・下顎表側矯正
- 治療期間:1年10カ月
- 治療費:130万円(通院回数25回)すべて税込み
- リスク:上下顎前歯の重度の歯根吸収
- 副作用:治療中の発音への影響、治療後の凸凹の後戻り、抜歯部位の空隙の後戻り
重症な症例だったので治療には患者さまの日々の生活でのご協力は欠かせませんが、患者さまご自身もとても努力してくださり、この治療結果を得られることができました。
治療結果に患者さまにとても喜んでいただき、私たちもとても嬉しく思っております。
今後も症例を積極的にご紹介してまいります。