みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。
今回はハーフリンガル矯正で治療を行った症例についてご報告させていただきます。
歯の凸凹、正中のズレ、出っ歯、咬み合わせの深さを改善したい
35歳の男性です。
歯並びの凸凹(叢生)、正中線のズレ、出っ歯、咬み合わせが深い(過蓋咬合/ディープバイト)ことを主訴に来院されました。
治療前の口腔内写真
治療前の正面の写真

正中線が不一致で咬み合わせが深いこと(過蓋咬合と言います)がお分かりになると思います。
治療前の左右の写真
よく見ると左右で奥歯の咬み合わせに差がありますね。
この差が正面から見たときの正中線のズレ(正中線の不一致)につながっています。
治療前の上下顎の写真
物を咬み合う方向からの写真であり“咬合面観”と言います。
上下顎の前歯部に比較的大きめの凸凹(叢生)が認められました。
患者様へのご説明と治療プランの決定
シミュレーションを元に、患者様とお話をしご納得頂いたのは、以下の治療プランとなりました。
リスクや副作用もしっかりお話しています。
- 診断:上下顎前歯部叢生、大臼歯関係の左右差をもつ骨格性II級、過蓋咬合症例
- 治療計画:非抜歯、マルチブラケット装置(上顎は裏側、下顎は表側:いわゆるハーフリンガル)により治療を行うこととした。
左側Ⅱ級ゴム(顎間ゴムの一種)とIPR (Interproximal reduction)を積極的に行い、叢生の改善、臼歯関係の左右差の修正および前歯部の被蓋改善を行うこととした。
この患者さまの場合は、比較的凸凹が大きかったのですが、初診時のイーライン(E-line、Eライン)が問題なかったことやご本人の希望も含めて検討し、非抜歯で治療が可能と判断しました。
治療後の口腔内写真
治療後の正面の写真

上下顎の正中線が一致し、過蓋咬合も適切に改善されていることがお分かりいただけると思います。
下に治療前のお写真と並べてみました。正中線の改善がはっきりわかります。
治療後の左右の写真
顎間ゴムをしっかり使用していただけたので、臼歯関係の左右差も改善され、良好なかみ合わせに改善されています。
矯正治療は患者さまのご協力がとても大切で、特に顎間ゴムの使用はモチベーションをもって続けていただく必要があります。
治療後の上下顎の写真
前歯部のデコボコ(叢生)もきれいに改善されていることがお分かりいただけると思います。
今回の治療例まとめ
今回の治療例の概要を以下におまとめしました。
同様の症状であっても患者さまにより治療方針は異なりますが、ぜひ参考にしてください。
- 診断(学術的):上下顎前歯部叢生を伴うskeletal Class II、右側Angle I・左側AngleⅡ 級過蓋咬合症例
- 治療法:非抜歯、上顎裏側・下顎表側矯正(ハーフリンガル矯正)
- 治療期間:1年11カ月
- 治療費:130万円(通院回数25回)すべて税込み
- リスク:IPRによる知覚過敏、前歯部のブラックトライアングル、歯根吸収
- 副作用:治療中の発音への影響、治療後の凸凹の後戻り
矯正治療は患者さんに協力してもらうことが必要な場合があり、この患者さんのように顎間ゴムをしっかり使った場合は治療が成功しますが、指示どおりにゴムを使用してもらえない場合は、治療が長引いたり、目標とする結果が得られないこともあります。
今回は、患者さまの努力のおかげで予定通りに治療が進み、私たちも大変感謝しております。