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完璧な歯並びを6ヵ月で手に入れる 3Dデジタル矯正

著書のご紹介「完璧な歯並びを6ヵ月で手に入れる 3Dデジタル矯正」

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

このたび、日本橋はやし矯正歯科で行われている治療法、3Dデジタル矯正システムの本を幻冬舎から出版いたしました。

 

完璧な歯並びを6ヵ月で手に入れる 3Dデジタル矯正

 完璧な歯並びを6ヵ月で手に入れる 3Dデジタル矯正(Amazon)

 

一般の方が読みやすく、そして分かりやすいように心がけながら、最新のデジタル矯正治療について解説いたしました。

 

矯正治療を検討されている方、実際に矯正治療を受けている方から歯科医療関係の方まで、幅広く役立つ本にすることができたと思っております。

 

ここではその内容を紹介させていただきます。

 

最先端の技術をアメリカで学んだ歯科医が、理想の笑顔を手に入れる画期的な方法を明かす!

 

短期間 ” “ 抜群の安全性 ” “ 圧倒的精度 ” で治療を実現するまったく新しい歯列矯正とは?

 

著者である林一夫氏が行っているのは、口の中を立体的にスキャンして治療を行う、デジタル・テクノロジーを使った最先端の矯正治療システムである。

 

この技術を導入している歯科で矯正治療を行えば、歯列矯正後のリスク回避や、治療期間の短縮等が実現できる。

 

本書は、患者と歯科医が口の中の状況についてコンセンサスを取りながら治療を進めていくことの必要性を示し、“オーダーメイド”な治療による正確、安全かつ低コストの矯正治療を紹介する。

 

 

幻冬舎のブックフェアも各地で開催されています

 

 

また、私の本を含めたフェアも各有名書店で開催中です。

幻冬舎のサマーブックフェア

自分にさらに磨きをかけたい「オトナ女子」のブックフェア。

 

自分をよりいっそう魅力的にし、毎日を素敵な笑顔で過ごすためのキャンペーン。様々な「自分磨き」の本の中に、私のデジタル矯正システムの本も仲間入りさせて頂いております。

 

▼三省堂書店 そごう千葉店

三省堂そごう店

「思いっきり歯を見せて笑えるようになりたい人へ」。たくさんの患者様を見てきた私にとっては、心に染み入る言葉です。

 

▼文教堂書店 赤坂店

文教堂書店赤坂店

自分磨きのための様々な書籍の中に、デジタル矯正システムの本も並んでいます。

 

これを見ると、自分磨きというものに歯列矯正がいかに大切なのかがわかり、気が引き締まる思いです。

 

この本で皆さんに少しでも3Dデジタル矯正を知って頂き、歯並びに悩む人たちが美しい笑顔を手に入れ、人生を明るく生きていくことのきっかけになるならば、著者としてまた矯正歯科医として、これほどの喜びはありません。

 

店頭で見かけた方は、ぜひ手に取って頂ければ嬉しいです。またウェブでも販売されております。

 

これからも様々な形で、デジタル矯正システムのより一層の普及に力を入れて参りたいと思っております。

日本顎関節学会で同期の先生と一緒に

日本顎関節学会に参加してきました

こんにちは、日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

私は歯科矯正関連の資格として「日本矯正歯科学会の認定医・指導医」の資格を取得していますが、それ以外に「日本顎関節学会の専門医・指導医」の資格も有しております。

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矯正治療に、額関節の知識は欠かせません

 

矯正治療はその患者様のほとんどが見た目の悩みを抱えていらっしゃいますので、見た目の改善はもちろん重要な点です。

 

しかし顎の症状や機能的な側面を無視した治療では、患者様にとって良い結果を得ることはできません。むしろかえってその後の健康を蝕むことになりかねません。

 

ですので、私はカウンセリング時から顎関節の状態を詳細に把握し、機能的な側面からも適切な治療デザインをご提案できるように心がけています。

 

そういったこともあり、顎関節に関する日本で最も大きな学会である「日本顎関節学会」の専門医・指導医の資格を取得し、指導にもあたっております。

 

この「日本顎関節学会」の第29回日本顎関節学会総会・学術大会が今月の17、18日に箱根で行われ、参加してきましたのでレポートいたします。

 

 

 

箱根の富士屋ホテルで行われました

 

今回は、箱根の湯本富士屋ホテルが学会会場でした。東京のクリニックからの日帰りでの参加になりました。

日本額関節学会総会が行われた湯本富士屋ホテル3

すっかり夏ですね。鬱蒼とした緑に包み込まれていて、とても趣があります。

 

日本額関節学会総会が行われた湯本富士屋ホテル2

学会会場に向かう途中の橋の上からの箱根の眺めです。久しぶりに自然の景色を見たような気がします。

 

日本額関節学会総会が行われた湯本富士屋ホテル3

 

今回は、顎関節症の新しい評価基準( DC / TMD )についての講演や発表を中心に勉強してきました。

DC / TMD とは ” Diagnostic Criteria / Temporomandibular Disorders ” の略であり、世界的に共通する診断基準として制定され、ドクター間でのより効果的な情報共有ができるようになりました。
今回はこの新しい診断基準の活用法、臨床で問題となる事柄を主に勉強してきました。

 

また、矯正治療に関連する研究発表の例として出されたのが、まれに、矯正治療中に前歯が開いてくる症例です。

この原因の一つに顎関節症があります。関節部の骨が吸収してしまい、アゴの骨の位置自体が移動して、前歯が開いてしまうのです。

このような症例の最新の対応方法などを学ぶことができ、とても勉強になる学会でした。

 

学会では、参加したメンバー同士の交流もとても大切です。

写真は、日本橋はやし矯正歯科との提携医療機関である東京医科大学口腔外科で講師をされている虻川先生です。私の大学時代の同期でもあります。

日本顎関節学会で同期の先生と一緒に

レントゲンの読影やCT画像の診査に関しては、口腔外科の医師としての助言をもらうこともあり、とても優秀で頼りになる先生です。

日本橋はやし矯正歯科で、外科的矯正治療やサージェリーファーストなどの手術を担当してもらうことになっています。

 


 

いかがでしたでしょうか?矯正歯科治療は、その領域だけを学べばよいものではなく、顎関節を含めた、歯列に関わる様々な部位を総合的に見ていくことが必要なものなのです。

 

より総合的な知識を身につけ、より良い矯正治療を提供することが大切です。これからも研鑽を重ねていこうと思います。

suresmile study clubで、治療期間が6か月で終了した症例を発表した

Suresmile study club!!

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

 

日本橋はやし矯正歯科で行っている新しい3Dデジタル矯正は、アメリカのOrametrix(オーラメトリックス)社が提供する suresmile system を中心に、いくつかのシステムを組み合わせてより良いシステムを構築することによって運用されています。

 

今回のコラムでは、先日行われた suresmile system 勉強会のレポート、そして全国規模の Suresmile study club!! 発足についての内容をお届けします。

 

 

 

Suresmile study club!!  勉強会について

 

この suresmile system は、2010年に私を含めた3施設から日本での運用が始まり、現在は全国で15施設を数えます。

 

そして私は suresmile system のインストラクター・ドクターとして2015年から活動を行っております。

 

このコラムでも何度か触れてきましたが、suresmile system は常に進化しています。ユーザーである矯正医は、新しい矯正システムを有効に活用すべく、この進化に遅れることなく常に勉強することが必要になります。

 

そこで、私は日本で suresmile system を導入しているドクターの方々と協力して「 Suresmile study club!! 」という勉強会を立ち上げました。

 

 

 

 

 

銀座で行われた Suresmile study club!! 勉強会の様子

 

今回は、銀座にあるアソーインタナショナルさんの会議室をお借りして、ミーティングを行うことができました。こころから感謝いたします。

 

suresmile study clubの勉強会を行ったASO international

 

この日の勉強会では症例の発表のほか、私は

  • 基本的なソフトウェアの使用法の復習
  • 新しく追加された機能などの解説

などをインストラクターとして行ってまいりました。

 

また、

  • 実際の運用時に遭遇したトラブルや、その解決方法などの共有
  • より効率的な運用ができるように日本でのサポート体制の構築

などを行い、とても意義深い勉強会になりました。

 

今回私は、治療期間が6か月で終了した症例を発表させていただきました。こちらが発表の様子です。

suresmile study clubで、治療期間が6か月で終了した症例を発表した

 

また、日本で suresmile を導入している先生方から運用に関する質問を受け、どのように改善していくことができるのかを議論しました。

 

これらの先生方は、皆さん著名な矯正科医であり、一つひとつの議論がとても有意義であり、私もとても勉強になります。

suresmile study clubでの発表の様子

最後に、今後の勉強会のスケジュールや、組織の運営に関する協議を行いました。

 

いよいよこの秋から日本全国の suresmile ドクターが集結し、またアメリカのOrametrix(オーラメトリックス)本社からもマーケティングや技術部門の担当者に参加して頂く、全国規模の study club!! を発足させることになります。

 

矯正歯科の業務と並んでインストラクターとしての業務がますます増え、忙しくなりますが、日本の矯正治療が3Dデジタル矯正で変革するその場に立ち会える喜びでいっぱいです。

 

今後も機会を見て、私が行っている様々な活動を紹介していきますので、よろしくお願いいたします。

機能的な側方誘導3

アゴの運動機能を再現した3Dシミュレーション【機能的な側方誘導の解消】

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科の林 一夫です。

今回は、新しい3Dデジタル矯正で可能になったアゴの運動機能を再現した矯正治療のシミュレーションについて、「機能的な側方誘導」の症例を挙げながらお話ししたいと思います。

 

 

 

早期接触、機能的な側方誘導とは

 

今回は、咬み合わせが上下反対になっている患者様の例です。

上下反対の咬み合わせの写真

写真、丸で囲んだ部分の咬み合わせが上下反対( cross bite :クロスバイト)になっています。

 

この上下反対に「早期接触」が発生し、「機能的な側方誘導」に至ってしまうメカニズムをイラストで説明します。

 

▼前から見たところを断面で見ています。

正常な奥歯の咬み合わせ

 

正常な位置で、矢印のように咬もうとしています。

 

▼ところが咬み合う前に接触してしまう場合があります。

早期接触

 

丸で囲んだところが、上下の歯が均等に咬み合う前に先にあたってしまっています。この部分が「早期接触」と呼ばれます。

 

▼さらに下顎が均等に歯が当たるところまで咬み込もうとします。そうすると…

機能的な側方誘導

 

下のアゴが矢印方向(側方)に誘導されて、位置がずれてしまいます。この状態を「機能的な側方誘導」といいます。

 

これが続くとアゴが横にずれた状態となり、正面から見ると左右非対称な顔になっていることがあります。

 

 

 

3Dシミュレーションで早期接触部位を発見

 

「早期接触」は、どこの歯にどの程度症状が出ているのかを見つけ出すことがとても重要です。そして正確な診断をもとに咬み合わせを改善することがより良い治療結果に繋がります。

 

新しいデジタル矯正では咬んだ部位を正確に把握し、歯が当たっている部位とそうでない部位を視覚的に表現することができます。

 

▼「機能的な側方誘導」を持つ患者様の上下の歯が咬み合った部分を色分けして示しました。機能的な側方誘導の3Dシミュレーション1

歯が当たっている部分が緑色と黄色で表現されています。この状態では、ほぼ均等にかみ合っているように見えます。

 

しかし、この患者様の下アゴの骨の位置は横にずれた状態、つまり「機能的な側方誘導」が起こってしまっています。

 

▼そこでアゴの運動を再現できる3Dシミュレーションで本来のアゴの位置(矢印方向)に下顎を少し動かしてみます。

機能的な側方誘導2

 

▼すると、異常が発現しました。赤で記された部分です。

機能的な側方誘導3

 

このようにかみ合わせが逆の奥歯( cross bite になっている奥歯)に赤い部分が出現しました。この部分が先ほど説明した「早期接触」の部位になります。

 

よって、この早期接触を改善するように歯をならべることで

  • 下あごの位置の側方誘導が解消され、よりバランスの取れたアゴの運動機能を獲得できる

さらには、

  • アゴの位置が正常な位置に戻ることで顔面非対称がわずかに改善できる

といった可能性があることが分かりました。

 

いかがでしたでしょうか?

新しい矯正技術である3Dデジタル矯正では、アゴの運動機能に関連した咬み合せの不正の原因を正確に見つけ出し、最善の治療方針・治療計画を立てることができることがお分かりいただけたと思います。

 


 

矯正治療の質の向上や治療期間の短縮には、適切な治療方針の立案が不可欠です。

日本橋はやし矯正歯科では新しい3Dデジタル矯正技術を駆使して、みなさまにより良い矯正治療を提供できるように、鋭意努力して参ります。

歯の凹凸、叢生の患者様の3Dシミュレーション最初の状態

デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!【その3】

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。

矯正治療は患者様の安全性が最も重要で、このコラムでも度々テーマに取り上げてきました。

 

デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!

デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!【その2】

 

今回はデジタル矯正システムを用いて私たちが患者様に提供することができるより安全な治療計画・治療デザインについて、また別の視点からお話したいと思います。

 

 

歯の凸凹(叢生)の矯正について

 

矯正治療において最も多い主訴(患者様が一番気にしている症状)は、歯の凸凹、叢生(そうせい)です。この歯の凸凹を解消して良い歯並びを獲得するには、歯を抜く必要がある場合があります。

 

凸凹の解消には、歯をならべるための十分なスペースが必要であり、そのスペースを確保するためにどうしても歯を抜く必要が出てくるケースです。

 

しかしもちろん「健康な歯を抜かないで治療してほしい」という患者さまももちろんいらっしゃいます。

矯正治療は歯並びだけでなく、患者様のその後の生活全般を見据えて行わなければいけませんので、可能な限りその患者様のご希望に沿った治療方法をデザインすることが重要になります。

 

 

歯を抜かない治療の問題点

 

歯を抜かない場合の治療では、一般的に以下のような処置を行い、凸凹の歯をならべるためのスペースの確保を行います。

  1. 前歯を前方に出す。
  2. 歯列弓(歯がアーチ状に並んでいる状態)を横に広げる。
  3. 奥歯を後ろに下げる。

しかし、上記の方法にはそれぞれに問題点があります。

 

1. 「前歯を前方に出す」場合の問題点

この方法は前歯を唇側に飛び出させる必要があり、治療により、より口元が前に出た感じの横顔になってしまう可能性があります。

 

2. 「歯列弓を横に広げる」場合の問題点

歯列弓を横に広げる場合では、過剰に歯を動かしてしまうと奥歯の歯の根っこ(歯根)が骨から外に飛び出してしまうことがあります。

 

3. 「奥歯を後ろに下げる」場合の問題点

治療期間がかなり長くなる傾向があり、また矯正用インプラント(矯正用アンカースクリュー)の併用が必要な場合が多いです。

 

 

それではこの患者様を例に、歯を抜かない治療方法と安全な治療計画について考えてみましょう。

 

 

重度の凸凹の状態へのアプローチ

 

この患者様は、上下顎ともに重度の凸凹があります。

 

▼こちらがその患者様の下顎の写真です。

歯の凹凸、叢生の患者様の写真

 

▼この下顎を3Dモデルにすると、より分かりやすくなります。

歯の凹凸、叢生の患者様の3Dシミュレーション

歯の凸凹を治療するにはスペースが足りないということが、この画像でお分かり頂けると思います。

しかし患者様は非抜歯(歯を抜かない)による治療を強く希望されており、そのご希望に応える治療計画が必要でした。

 

また

  • 現在の口元はバランスが取れているので、口元を前に出すような「1. 」の処置は行えない
  • 治療期間をできるだけ短くしたいとのご希望で、治療期間が長くなる「3. 」の方法は採用できない

ということで、必然的に「2. 」の「歯列弓(歯がアーチ状に並んでいる状態)を横に広げる」方法を採用し、非抜歯による治療計画を立てることなりました。

 

 

3Dシミュレーションが再現した重大な問題

 

▼こちらは最初のシミュレーションです。

歯の凹凸、叢生の患者様の3Dシミュレーション最初の状態

前歯が唇側に出ないようにしながら歯の凸凹を解消すると、このように奥歯の歯根が骨から飛び出してしまうことがわかりました。

そこで歯根を骨の中に維持しながら凸凹を解消するために、  IPR  ( Interproximal Reduction:ディスキングとも言います)を併用して歯をならべた場合のシミュレーションを行いました。

 

※  IPR  とは歯の幅を少し削って小さくすることで、歯をならべるためのスペースを獲得する方法です。

詳しくはこちら:矯正体験レポート第三回:カスタムワイヤー編!

 

 

▼これが IPR を併用した場合のシミュレーション結果です。

歯の凹凸、叢生の患者様の3DシミュレーションIPRでの結果

歯根がしっかりと骨の中に維持され、なおかつ凸凹が解消し、また前歯が唇側に出ることを防止しながら歯をならべることができるとわかりました。

 

IPR は削る量が多くなると歯がしみる原因になってしまうので、CT画像から正確なエナメル質(歯の一番外側の硬い組織)の幅を測定し、その範囲を超えないような量を削ります。

 


 

このように3Dデジタル矯正治療では、骨と歯根との三次元的な位置関係を正確に再現し、その情報を元にシミュレーションを行うことができます。

 

これにより、今まで予測することが難しかった歯の移動によるリスクを正確に予測することができ、より安全で患者様のご要望にお応えできる治療計画を提案するこが可能となりました。

 

日本橋はやし矯正歯科では、矯正治療にご不安のある患者様でも、個別によくご相談し納得頂きながら、このような治療デザインを丁寧に設計させて頂いております。