みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科院長の林 一夫です。
今回は、アンカースクリュー(矯正用インプラント)のお話をします。
矯正用インプラント、アンカースクリュー、ミニスクリュー、TADsいろいろな呼び方がありますが、矯正治療を検討されたことがある方は聞いたことがあると思います。
「どうして使うのか」「どんなものがあるか」「どんな症例にどのように使うか」などの情報があまりありませんので、この記事をぜひ参考にしてください。
アンカースクリューを使うとどう違うの?
矯正用インプラントを用いての治療は、アンカースクリューを顎の骨に埋め込んで、それを起点に歯を引っ張ります。
より正確に目標とする位置に歯を動かすことを目的に用います。
例えば重度の出っ歯の場合に、抜歯して前歯を積極的に後退させるときなどは大変有効です。
骨に埋め込むってなんとなく怖い…痛みはある?
アンカースクリューをご提案した時にしばしば「怖い」とおっしゃられる方がいらっしゃいます。
骨にスクリューを埋め込むのでどうしてもそういうイメージがあるのかもしれませんが、実際の埋め込む際の施術は麻酔をかけてから経過観察まで30分程度です。
また、麻酔が切れた時に多少の痛みはあることは多いですが、
アンカースクリューを外すタイミングは?痛みはある?
矯正治療がすべて終わったタイミングで、アンカースクリューを除去します。
これも「痛いかな?」というイメージがあるかと思いますが、実際は痛みはほとんどなく、麻酔をかけることもありません。
ですので「なんとなく怖い、敷居が高そう」というイメージはもたれる必要はなく、むしろ「使うと矯正治療が早く終わる」というメリットなどでご検討いただけると良いかと思います。
アンカースクリューの用途と使い方
日本橋はやし矯正歯科では、アンカースクリューは様々な症状の改善にとても効果的に使用しています。
用いる部位や目的によっていくつか種類がありますが、今回は当院で用いているアンカースクリューについて解説します。
1) 上顎前歯の後方移動に用いる場合
いわゆる「出っ歯」の改善です。
この治療を行う場合、当クリニックではまずは一番シンプルな方法でアンカースクリューを用いることが多いです。
上顎の第一小臼歯を抜歯した患者さまの写真ですが、第2小臼歯と第一大臼歯の間にアンカースクリューを埋入して前歯部の後方移動を行っています。
2) 上顎前歯の後方移動に用いる場合(その2)
この例も上顎を後方移動させたい場合の使用例です。
このアンカースクリュー「はPLAS(パラタル・レバーアーム・システム)」と言われるものです。
1)と比較してアンカー自体の脱離が少ない、大臼歯の後方移動も可能などの利点も多いのですが、違和感は大きいので患者さまが慣れるまで少し時間がかかります。
3) 上顎前歯を圧下させる場合(ガミースマイルの改善)
ガミースマイルとは「スマイル時に前歯の歯茎が露出する状態」です。
この例は上顎の中切歯間にアンカースクリューを1本埋入し、上顎前歯を圧下させガミースマイルの改善を行っているところです。
重度の場合は中切歯と側切歯間に左右で2本埋入して治療を行う場合もあります。
4) 上下顎大臼歯を圧下させる場合
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この例は重度の前歯部開咬の改善を行う場合に用います。
開咬とは、口を閉じた際に上の歯と下の歯が咬み合わない状態をいいます。
以下は開咬を改善した3Dシミュレーションの記事となりますので、ぜひ参考にご覧ください。
(アンカースクリューを使用しない症例となります)
本来は外科手術を行うことが最も良い治療の患者さまで、手術を行いたくないとご希望される場合、アンカースクリューを使用しての治療を行うことが多いです。
5) 下顎の大臼歯を近心移動させる場合
下顎の大臼歯は前方に移動させることが比較的難しい場合※、必要に応じで以下の写真のようなアンカースクリューで大臼歯を前方に移動させます。
※特に裏側矯正治療の場合はその傾向が強くなります。
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通常の矯正法と違い、アンカースクリューは少し説明が難しいのですが、埋め込むのも除去するのもそれほど怖いものではなく、痛みもそれほど大きくはありません。
そして歯の移動にとても効果的であることがご理解いただけたと思います。
アンカースクリューについてお聞きになりたいことがありましたら、ぜひカウンセリングの際にご質問ください。