(2015年10月15日公開/2020年3月6日更新)
これまでデジタル矯正システムの様々な利点をご紹介してきましたが、今回は患者様が笑顔をつくるための、「見た目を整える」ことのデジタル矯正システムのメリットについてお話させて頂きます。
- デジタル矯正システムというハード面
- 患者様のQOLというソフト面
「笑顔を基準」とすることで患者様のQOLを向上させられること、そして「デジタル矯正システムだから可能になった新しい歯の移動のシミュレーション」の2点についてをまとめています。
患者様と矯正歯科に従事される方の両方にぜひ読んで頂きたい内容です。
笑顔の獲得はQOLに直結します
患者さまは、何のために矯正治療を受けたいと思うのでしょうか?
「歯の機能回復」「疾患の治療」…。矯正治療でもちろん大切なのは、こういった医学的な側面があります。
しかし私は、患者さんの生活全体を見たとき「見た目を整える」という点がとても大切だと思っています。
口元に自信が持てないと、気持ちも暗くなりがちです
矯正が必要で来院される方は、心からの笑顔をつくれない方がほとんどです。なぜなら、口元に自信が持てないからです。
笑顔をつくれないと、どこか気持ちも暗くなってしまうのは、みなさん共通だと思います。
良い笑顔を獲得し、自信につなげるための矯正治療
それが、歯並びがよくなることで気持ちが前向きになって、表情が変わってくる。
今まで何人もそういった患者様を見てきましたし、治療前後の顔写真を見たら一目瞭然です。治療前は笑っていないのに、治療後は楽しそうな表情をされています。
つまり「自分にとってより良い笑顔を獲得するため」に矯正治療を受けるという考え方がとても重要だと考えています。
矯正治療の仕上がりの指標としての「笑顔」
ご存知のように、矯正治療では歯を動かし、見た目を整えます。
その場合、何か基準がなければ歯を動かすことはできません。歯を動かすための目標があって、初めて適切な位置に歯を動かすことが可能となります。
これまでの矯正治療では、
- 顔を横から見た場合の上あごの位置や下あごの位置を評価する
- 横から見たときの前歯の傾きなどを“平均値”と比較する
これらの情報から歯を動かす目標を決めることが一般的でした。もちろん、この評価方法はとても大切で、良い治療結果にはなくてはならないものです。
しかし、果たしてこれで十分なのでしょうか?
人の歯はいつ見えるのでしょうか?…それはもちろん、笑顔のときです。一人ひとりの笑顔のための矯正治療であるためには、この笑顔が治療の基準になるのが当然だと考えます。
デジタル矯正システムで患者様の笑顔をシミュレーション
患者様の口腔内の3Dモデルを作成するデジタル矯正システムは、笑顔のシミュレーションを行うこともできます。
この写真を見て、皆さんはどのように思うでしょうか?
この辺りが気になりますね。
それでは、下の写真の、「○」で囲った部位を見てどう思いますか?
笑顔の魅力を左右する「バッカルコリドー」
この患者様の場合は比較的軽度ですが、このように笑顔を作ったときに口角に、黒く抜けた空間 “バッカル・コリドー” が出現しています。
バッカルコリドーとは笑顔を作った時にしばしばできる、口角に黒く抜けた空間で、歯列の幅が狭い方に多く出現します。
矯正治療に関する国際的な学術論文などによると、このバッカル・コリドーの面積が少ないほうが “より美しく魅力的な笑顔” と感じられることが統計的に明らかになっています。
ですので、アメリカやオーストラリアなどでは、患者様の意識もとても高く、このバッカル・コリドーを治すためだけに矯正治療を受けることも多いのです。
笑顔を基準とした治療予測シミュレーション
この図は、デジタル矯正システムで「患者様の笑顔の写真」と「三次元(3D)モデル」を重ね合わせたものです。
三次元モデルは、その向きや見え方を調整することによって、このようにより正確に二次元の写真と重ね合わせることができます。
次に、この図のように写真の唇の内側(歯の部分)を選択し、その部分の写真を削除すると…
二次元の写真の中に三次元モデルをきれいにはめ込むことができました。
八重歯の位置やバッカル・コリドーが正確に近い状態で再現されていることがお分かりいただけると思います。
バッカルコリドーの改善とスマイルラインのシミュレーション
そして、凸凹や八重歯を治し、またバッカル・コリドーを改善するよう歯を動かした場合のシミュレーション結果が下の画像です。
なお、赤で示した線は「スマイルライン」と呼ばれており、これも基準としてシミュレーションを行いました。
「スマイルライン」に沿って上あごの歯をならべることも、魅力的な笑顔になる要素であると言われています。
このように、デジタル矯正システムで実際の写真を基にシミュレーションを行うことは
- 患者様にとってとても分かりやすい
- 患者様と矯正科医が最終的な治療目標を目に見える形で共有できる
といったことが可能になるので、より良い信頼関係も構築できます。
もちろん、その場でお話しながらダイナミックにシミュレーションを操作して、より患者様が納得する治療目標を再設定することも可能です。
参考サイト
バッカルコリドーに関する学術報告
https://academic.oup.com/ejo/article/29/5/530/426792
矯正歯科医と一般の人は、どちらものグループでも小さなバッカルコリドーの笑顔のほうが、大きなバッカルコリドーの笑顔よりもかなり魅力的(P <0.05)であると評価しています。
デジタル矯正システム
https://www.suresmile.com/en-us/
ホームページにも書かせていただいていますが、
新しい歯科矯正技術による、より良い治療結果を多くの方に提供し、みなさまの毎日をより豊かなものにしていきたい。
…”心からの笑顔のために”…
これが、日本橋はやし矯正歯科の想いです。