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ハイブリッド矯正治療とは -その2-

(2018年9月5日公開/2024年10月23日更新)

 

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

 

今回は、最近お問い合わせの多いハイブリッド矯正治療について、もう一度お話させていただきたいと思います。

 

ハイブリッド矯正については、以前のコラムではこのように説明しています。

矯正治療には、表側矯正、裏側矯正、マウスピース矯正による矯正治療などいくつかの代表的な治療方法があり、一般的には各治療方法を単独で用いて治療を行います。

 

しかし、各治療法には利点や欠点、向き・不向きがあります。

 

そこで、これらの利点だけをうまく融合させより効果的・効率的で、患者様の多様な要望に答えることができるようにデザインされた治療方法が「ハイブリッド矯正治療」なのです。

ハイブリッド矯正治療とは より

 

▼こちらのコラムもぜひ参考にしてください。

ハイブリッド矯正治療とは

 

 

ハイブリッド矯正治療とは

 

日本橋はやし矯正歯科で行っておりますハイブリッド矯正治療とは、裏側矯正とマウスピース矯正といった、複数の矯正治療方法を組み合わせた画期的な治療です。

最新のデジタル矯正システムを用いることでより進化した治療となっています。

 

裏側矯正、インビザラインなどのマウスピース矯正は、ともに目立たない治療方法ですが、それぞれにメリットとデメリットがあります。

 

マウスピース矯正のメリット・デメリット

 

インビザラインなどのマウスピース型装置による矯正治療(通称:マウスピース矯正)は、装置が取り外せるので、歯みがきなどのお口の環境維持がとても楽に行えます。

しかし歯の凸凹が強い場合、その凸凹を解消するのに治療時間が長くかかってしまうことがあります。

 

裏側矯正のメリット・デメリット

 

ワイヤーを用いた裏側矯正などは、歯の捻じれや凸凹を解消に効果が高く、治療のはじめの段階で凸凹などは比較的すぐに改善されます。

ですが歯の裏側に装置を着けますので、慣れるのに少々時間がかかったり、歯みがきにコツが必要だったりと、一時的に痛みを伴ったり、お口の中のケアなどが少し難しくなります。

 

この2つの治療を組み合わせ、それぞれの良いところを積極的に使う治療がハイブリッド矯正治療です。

 

 

ハイブリッド矯正治療を行った実際例

 

こちらは24歳の女性です。上下顎ともてこぼこが大きく、マウスピース矯正のみでは治療が難しく、治療期間も長くなってしまうと判断し、ハイブリッド矯正治療を行いました。

 

治療前の歯列の状態

 

▼こちらが上顎と下顎です。 カスタム・コンビネーション矯正治療前の上顎と下顎の画像

 

▼このように上下とも歯列に問題があると噛み合わせも良くなく、そのため見た目以外に様々な問題が起きてしまいます。

カスタム・コンビネーション矯正治療前の口腔内前からの画像

 

ハイブリッド矯正による治療方法

 

(1)裏側矯正

 

そこでまずは裏側矯正です。裏側矯正が得意とする部分である「抜歯を行い、凸凹を解消し、歯の捻じれなども改善する」という部分を行いました。

 

▼裏側矯正を行った上顎と下顎です。

裏側矯正を行った上顎と下顎の画像

この時点で、かなり歯の凸凹がなくなり、綺麗になってきています。

歯を抜いた後の隙間を閉じるのも針金矯正の方が効果的です。

 

▼裏側矯正中の咬み合わせです。かなり揃ってきています。

裏側矯正を行った咬み合わせの画像

しかしまだ凸凹や隙間などが残っているのが分かりますので、ここから先はマウスピース型矯正装置で矯正治療を行っていきます。

 

(2)マウスピース矯正

 

▼マウスピース型矯正装置を使用する前の上顎と下顎です。

マウスピース型矯正装置を使用する前の上顎と下顎の画像

 

▼咬み合わせがこちらです。

マウスピース型矯正装置を使用する咬み合わせの画像

 

この時点で裏側矯正を外し、インビザラインを用いたマウスピース矯正に移行します。

 

▼左がインビザライン治療開始時、右が治療終時のクリンチェック(シミュレーション)です。

左がインビザライン治療開始時、右が治療終時のクリンチェック(シミュレーション)の画像

かなり歯列が揃っており、咬み合わせもよくなっていることが分かります。

 

こちらの患者様の治療は、現在は最後の段階に来ており、患者様ご自身もとても現在までの治療経過に満足されております。

 

いかがでしたでしょうか。このように2つ以上の治療を組み合わせより良い治療を提供できるのがカスタムコンビネーション治療です。

 

患者様の症状により何か最適な治療なのか判断し、実際にその最適な治療を行うことが出来るのはデジタル矯正治療の強みです。

ぜひ検討していただければと思います。

 

 

▼こちらのコラムもぜひ参考にしてください。

ハイブリッド矯正治療とは

Orametrix社でのミーティングと工場見学

こんにちは、日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

今回の渡米では、AAOミーティングの後にOrametrix(オーラメトリックス)本社に再度訪問しましたので、その様子をレポートします。

 

▼AAOミーティングの様子はこちらです

AAO(アメリカ矯正歯科学会総会)参加レポート

 

デジタル矯正システム、suresmileに興味がある先生方、すでに導入されている先生方にはとても貴重な写真、情報がありますので、是非読んで頂ければと思います。

 

 

 

今回の訪問の目的は、Orametrix社が今年7月から日本へも提供を開始する新しいマウスピース矯正の工場見学と、今後の日本での活動に関する打ち合わせです。

 

これは、ここに来ると必ず記念に撮影する写真です。毎回凛とした気持ちになり、初心に還ります。

 

Orametrix社外観と林院長の写真

 

前回訪れた時に比べて、壁がきれいになっていました。

 

こちらは、いままで撮影禁止となっていた最新のワイヤーベンディングロボットの外観と内部構造の写真です。Chuck CEOの許可を得て初めて撮影させていただきました。

 

最新のワイヤーベンディングロボットの外観と内部構造の写真

 

ロボットが正確に作成し、そこで働く人たちがロボットの動きを常にチェックしています。

 

これら最新のロボットは、ワイヤーを曲げると同時に設計通りに屈曲されているかどうかをその場で計測しながら曲げて行きます。

 

高精度カスタムワイヤーを製作する写真1

 

たくさんのモニターがそれぞれの製造状況を知らせてくれています。

 

ワイヤーを曲げるアーム部分は特許の関係上、アップしてお見せすることはまだできません。

 

高精度カスタムワイヤーを製作する写真2

 

現在、アメリカで稼動しているロボットは6台、そしてドイツのベルリンで2台のロボットが稼働しており、日本で使用されるワイヤーはアメリカとベルリンの両方で作られていたため、ベルリンから届くものについては少し時間が必要でした。

 

そのベルリンのロボットも、今年の秋ごろにアメリカに移設され、合計8台のすべてのロボットがアメリカで稼動することになります。

 

これでワイヤーオーダーから日本に届くまでの時間が短縮されますので、患者様にご提供できるまでの期間もより短くすることができます。

 

曲げ終わったワイヤーはまずはこのように分類・保管されています。

 

高精度カスタムワイヤーが整然と保管された写真

 

こうして世界各国の患者様の治療のために、歯科医院へ送られていきます。

 

この写真は、最新のアライナー(マウスピース型矯正治療装置)作成ロボットです。

 

最新のアライナー(マウスピース型矯正治療装置)作成ロボットの写真

 

レーザーでモデルから成型されたアライナー(マウスピース型矯正治療装置)をカットして取り出します。実際の動きも見ましたが、とても効率よくまた正確にアライナーを作製することができます。

 

今回も非常に有意義な訪問となりました。この冬にも再度suresmileドクターを募集することになりそうです。まだまだ忙しい日々が続きますが、デジタル矯正システムの発展のために頑張りたいと思います。

 

ご興味のある先生がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。お待ちしております。

AAO(アメリカ矯正歯科学会総会)参加レポート

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。今回は、アメリカ矯正歯科学会に参加しましたので、その様子をレポートしたいと思います。

アメリカ矯正歯科学会に参加する林院長がワシントンDCのワシントンコンベンションセンターで撮影した画像

 

▼AAO(アメリカ矯正歯科学会)公式サイト

American Association of Orthodontists

 

この総会は年に一度行われる、世界中の矯正歯科医や歯科関連企業が一堂に会するとても大規模なカンファレンスです。

 

今年は、ワシントンDCのワシントンコンベンションセンターでの開催となりました。

アメリカ矯正歯科学会の入り口での林院長の画像

 

▼オープニングセレモニーの様子です。

アメリカ矯正歯科学会のオープニングセレモニーの画像

 

セレモニーはとてもエキサイティングで、集まった人たちが皆ワクワクしている様子が伺えました。

 

 

 

▼こちらは、前日に行われましたデンツプライシロナ主催のパーティーです。

アメリカ矯正歯科学会の前日に行われたデンツプライシロナ主催のパーティーの画像1

 

アメリカ矯正歯科学会の前日に行われたデンツプライシロナ主催のパーティーの画像2

Oramtrix社は、今後はデンツプライシロナにより経営されていくことになりました。

 

▼デンツプライシロナ公式サイト

デンツプライ シロナ株式会社|The Dental Solutions Company

 

 

 

デンツプライシロナが経営していくことを報せるプレスリリースがこちらです。

 

デンツプライシロナが経営していくことを報せるプレスリリースの画像

 

これは私にとって非常に大きなニュースでしたが、今回の渡米でOramerix社およびデンツプライシロナの責任者の方々とお話することができ、とても有意義な学会参加でした。

 

 

学会後、テキサスのOrametrix社に訪問いたしました。詳細は次のコラムで報告させていただきます。

第1回 suresmile ドクタートレーニング

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

 

今回は、3月12日から14日までの3日間で行われました、suresmileの新規ユーザーのためのドクタートレーニングについてレポートします。

 

日本国内でトレーニングできるようになりました

 

いよいよsuresmileも第三期の新規ユーザーが認定され、日本全国で新しく6施設がsuresmile systemの運用を開始することとなりました。

 

suresmile ドクタートレーニング当日の画像

 

まだ少ないながらも、日本でもかなりの勢いで、suresmileシステムが普及してきております。

 

そこで、これまではアメリカ・テキサス州のOrametrix本社でドクタートレーニングを行ってきましたが、今回から東京で開催されることとなりました。

 

渡米せずとも自国で学ぶことができると、トレーニングへのハードルがぐっと下がりますので、suresmileの拡大も加速度的になることが期待できます。

 

メインの講師として3日間トレーニングを行いました

 

今回のトレーニングのプログラムです。

 

  • 1日目:suresmileの入門説明
    Orametrix社の紹介からsuresmileのソフトウェアの説明、治療計画や実際の治療の方法など、基本的なことを網羅して解説しました。
  • 2日目:suresmileによる治療 基礎的な説明
    2日目は実際の治療について重点的に説明を行いました。suresmileを用いたブラケットの装着や実際の歯の移動など、実際の患者様のモデルに基づいたものも多く交えて、分かりやすく構成しました。
  • 3日目:suresmileによる治療や装置の説明
    2日目の説明からもっと踏み込んだ具体的な治療や、様々なワイヤーなど装置の説明、suresmileの細かな仕様や操作の説明などを多数の画像を交えて解説しました。

 

トレーニングでは、私はもちろんメインの講師として3日間のトレーニングを行いました。準備期間も含めかなり忙しい時期が続きましたが、なんとか成功させることができたと思います。

 

品川のカボデンタルシステムズの会議室の窓からの風景の画像

 

会場は品川のカボデンタルシステムズの会議室です。カボ様のご協力に心から感謝いたします。御殿山トラストタワー15階です。とても良い眺めです。

 

▼カボデンタルシステムズ
カボデンタルシステムズジャパン株式会社

 

トレーニング初日の様子です

 

トレーニング初日の写真です。初日はsuresmileシステムの基本となる部分を重点的に説明しました。

 

suresmile ドクタートレーニング初日の画像

 

Orametrix側からもGlenn Lyon氏らが参加してくださいました。

 

DT-03-s

今回は新しく6施設が認定を受け、今回のトレーニングに参加しました。内容の濃いトレーニングではありましたが、最後まで集中して参加していただけたことに感謝したします。

 

トレーニング二日目の様子です

 

2日目のトレーニングは主にsuresmileによる治療についてです。皆様とても真剣に説明に聞き入っていらっしゃいました。

 

二日目のランチの様子です。

 

suresmile ドクタートレーニング2日目の画像

 

来週からは、ドクタートレーニングの最終段階であるワイヤーのインサートに関するトレーニングが始まります。各施設にお邪魔してカスタムワイヤーの適用方法を勉強していただきます。

 

本当に実りのある3日間でしたが、これからもインストラクタードクターとしての責任を考え、身を引き締めていきたいと思っています。

 

より発展していくsuresmileのトレーニング

 

 

私は日本で、“suresmile study club”という団体を主宰していることは幾度かこちらのコラムでご紹介して参りましたが、今後の大きな変化を見据え、このグループも本格的に活動を見直す時期に来ています。

 

今後の発展の鍵は、先生方とより良い勉強会を運営し、効果的な運用の手助けとなる情報を発信することです。

 

ご興味のある先生がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡頂ければと思います。この素晴らしいシステムで、より多くの方に笑顔をお届けすることを願ってやみません。

より良いマウスピース治療の治療計画

マウスピース型矯正装置(インビザライン)による矯正治療

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

今回は、新しく導入した最新の口腔内スキャナー“iTero”と、日本橋はやし矯正歯科が行っている最新の“インビザライン”治療についてお話したいと思います。

 

▼ ” iTero element ” についての記事はこちらです

最新の口腔内スキャナー” iTero element “を導入しました

 

 

普及が拡大するマウスピース矯正の注意点

 

インビザラインは、現在最も用いられているマウスピース矯正のシステムであり、広く普及するとともに、その治療成績も格段に進歩してきました。

 

▼インビザラインの公式サイトはこちらです
インビザライン・システム | 【公式】インビザライン・システム

 

 

しかしながら、このシステムのみで歯の根っこ(歯根)やアゴの骨(歯槽骨)までを考慮した治療計画を立てることはできません。

 

マウスピース矯正の場合、歯列の幅を拡大して歯をならべる治療を行うことがあります。

その際に、歯根と歯槽骨の情報が無いまま治療計画を立てた場合、歯根が骨から出てしまうという、非常に危険な治療計画になってしまう可能性があります。

 

以前のコラムにも書かせていただいた症例を基にお話したいと思います。

 

▼こちらの症例となります

デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!【その3】

歯の凹凸、叢生の患者様の写真

 

 

「歯」だけの治療計画では十分ではない

 

こちらの患者様には、上下顎ともに重度の凸凹がありました。

そして非抜歯(歯を抜かない)による治療を強く希望されており、そのご希望に応えられるような治療計画を立てることになりました。

 

しかし、歯の部分だけを基準にした治療計画を立てた場合、図のように歯根が骨から飛び出してしまうことが分りました。

 

そこで、歯の根っこを骨の中に維持しながら歯をならべることの出来る治療計画に変更しました。

 

このような歯と骨の情報からより安全な計画を立てることは、「歯」だけを3Dモデルにしたインビザラインのみの治療計画では難しいことがお分かりいただけると思います。

 

マウスピース矯正の危険な治療計画と安全な治療計画

 

ですので日本橋はやし矯正歯科では

  1. 歯と骨の情報を基にした治療計画を立てる
  2. その歯の動きを正確にインビザラインの治療計画を立てる
  3. これら治療計画に反映させるシステムを用いる

これらを行うことで、このようなインビザライン治療の弱点を克服し、より緻密で安全なインビザラインによるマウスピース矯正治療の提供を実現しています。

 

以下の図のように、歯と骨の情報から治療計画を立てています。

より良いマウスピース治療の治療計画

 

 

” iTero element “導入によりさらなる品質の向上を

 

また、前回のコラムでは、当院が導入したインビザライン専用スキャナー” iTero element “についてご説明させて頂きました。

 

▼前回のコラムはこちらです

最新の口腔内スキャナー” iTero element “を導入しました

 

” iTero element “があるかどうかはマウスピース型矯正装置(インビザライン)による治療にとって非常に大きなアドバンテージです。

 

” iTero element “によるスキャンニングを行えば、最短でインビザライン矯正装置を患者様に届けることができ、またインビザラインの性能自体も向上し、最終的な仕上がりに差が生じます。

 

 

歯と骨の情報から設計した安全な治療計画をダイレクトにインビザラインの治療計画に反映することのできるシステムを、日本橋はやし矯正歯科では日本で先駆けて導入しています。

 

▼治療計画の関連記事も併せてご覧ください
デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!
デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!【その2】