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ソーシャル・スマイルのためのソーシャル6(social 6 )

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

今回は部分的な矯正治療、特にソーシャル6(social 6)とよばれる上あごの前歯6本の矯正治療についてお話したいと思います。

 

 

ソーシャル・スマイル、social 6とは

 

▼この写真の違いが分かりますか?

様々な笑顔左から右に向かって、以下の状態です。

  • 安静にしている状態
  • 笑顔の最初の段階:ソーシャル・スマイルと呼ばれます
  • 笑顔の第二段階で大きく笑っています

中央の「にっこり笑った状態」は社交の場で最も多く見られる笑顔なので「ソーシャル・スマイル」、そしてその時にはっきりと見える前歯6本が「social 6」と呼ばれています。

 

このソーシャル・スマイルを美しく改善したいとの想いから、矯正治療を受けられる患者様が多く来院されます。

 

 

「social 6」の矯正治療、日本人は難しい

 

患者様は、この「気なっている前歯のみを治療することは可能なのか?」という疑問を持っています。

 

そして歯科医師の中には「前歯のみの矯正治療は簡単で、矯正治療の専門知識なしに行うことができる」と考えている場合が多いと思います。

 

もちろん、ちょっとした前歯の捻じれや少しの隙間を治す、それだけなら治療できる場合もありますが、そううまく行くケースは実は非常に少ないのです

 

欧米人の場合は日本人と比較して歯の凸凹が少ないので、比較的難易度の低い治療で改善できることが多いですが、日本人は歯の凸凹が多いので、この前歯6本(social 6)のみ治療ではとても困難な場合があります

 

私は、前歯6本のみの矯正治療を決して否定しているわけではありませんし、患者様が前歯のみの治療を希望され、結果に満足されるのであれば、積極的に行っています。

 

すべての矯正治療で言えることだとは思いますが、矯正治療の治療目標は

  • 患者様がどの程度の歯並びで満足することができるのか
  • 決して“矯正医目線からの完璧な歯並び”を目指すのではなく、どこにお互いが妥協できる目標を設定するのか

ということだと考えます。そして前歯6本のみの治療はこういった点で、多くの状況で妥協が必要になることが多いです。

 

 

soclal 6の治療を希望された実例

 

▼この患者様は、上顎の前歯のみの治療を希望され来院されました。

ソーシャル6矯正前の歯列1

ソーシャル6矯正前の歯列2

 

▼まず、前歯6本をそのまま並べたときのシミュレーション結果です。

ソーシャル6矯正最初のシミュレーション赤い矢印の部分を見ていただくとお分かりなるように、ただ並べただけでは出っ歯になってしまいます。

 

▼これを受けて、前歯の幅を小さくする処置(IPR:Inter Proximal Reduction)を行った場合のシミュレーションを行いました。

ソーシャル6が出っ歯にならないように調整したシミュレーション

social6_6

出っ歯にならないようにIPRを行った結果、確かに出っ歯はかなり矯正されます。

ところがこれで、歯を削る量が1.0mmよりも多くなる部分ができてしまうことがわかりました。

※赤枠の部分が歯を削る量を示しています。

 

これだけの量のエナメル質を削ってしまうと、その内側の象牙質が露出し、知覚過敏などの症状が出てしまいます矯正の結果、歯の健康を損ねるようなことがあってはなりません

▼そこで、前歯だけの治療ではなく、上顎全体の部分矯正による治療を想定し、シミュレーションを行いました。

social6_7 social6_8

IPRを行う歯の数が増えたことによって、

  • 歯を削る量をそれぞれ半分以下にできる
  • 象牙質が露出するリスクが小さくなる
  • また出っ歯にならないような治療をおこなえる

ということがことが分かりました。

このシミュレーションを基に患者様に説明をさせていただいた結果、前歯6本のみの治療ではなく、より安全で効果的な上顎全体の部分矯正で治療をスタートすることになりました。

 

また患者様が望んでいた「よりシンプルな矯正治療を受けたい」というご要望にもこたえることが出来る治療方針だと思います。


 

このように、

  • 上あご6本の前歯(social 6)のみの矯正治療も、けっして簡単な矯正治療ではない
  • 矯正専門医の知識と最新の技術があってこそ、より良いものにしていくことができる

ことがお分かりいただけたと思います。

矯正治療をお考えの方はより良い結果を得るために、ぜひ矯正の専門家にご相談されることをおすすめ致します。

 

参考文献:Carlos Alexandre. Aesthetics in Orthodontics: Six horizontal smile lines:Dental Press J. Orthod.131 (15)1, 118-131, 2010

歯根がぶつかっている3Dモデル歯根部分の写真

デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!【その2】

みなさんこんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。
以前このコラムで、矯正治療についての安全性について書きました。

デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!

デジタル矯正システムは口腔内の細かな情報を取得できるので、従来より安全性の高い治療計画・治療デザインが行うことが可能になってきています。

今回は最近経験した患者様の “八重歯の治療例” をごらん頂きながら、再度別の視点からお話したいと思います。

 

 

八重歯の矯正治療の例

みなさんご存知のように、矯正治療は歯を動かして歯ならびを整えます。
「歯ならび」というと、歯の表面、見た目を連想しますよね。でも、よく考えてみると
歯を動かす=歯根を骨の中で動かす
という非常に大掛かりな治療なのです。そしてそのためには、歯根と骨の正確な情報が必要です。それがなければ、本当の意味での安全な治療を行うことは不可能なのです。

 

▼八重歯(犬歯低位唇側転移)の患者様の口の中の写真です

矯正治療の安全性、八重歯の写真

このような場合、犬歯(出っ張っている歯が犬歯です)の1つ後ろの歯、第一小臼歯を抜歯して、治療をすることが多いです。

 

▼三次元モデルに分かりやすく色をつけてみました

矯正治療の安全性、犬歯3Dモデルの写真

これは、写真の患者様の診断用三次元モデルです。色が変わっている歯が第一小臼歯で、この歯を抜歯して、治療を行うことになりました。

 

 

レントゲンでの確認の仕方

まず、この状態での歯根をレントゲンで確認してみましょう。

 

▼レントゲンで見てみましょう

八重歯のレントゲン写真1

この写真は、上顎の犬歯・第一小臼歯・第二小臼歯のレントゲン画像です。何か問題点を発見できましたか?

 

▼異常が認められる部分に色をつけてみました

yaeba_chiryoumae_xray2

このように第二小臼歯と犬歯の歯根が曲がっています(湾曲根)。このように二次元のレントゲン写真でも歯根の湾曲を診断することは、ある程度可能なことが分かります。

 

 

三次元モデルで見てみましょう

では、三次元モデルを用いると、どこまで詳細に分かるのでしょうか。矯正のシミュレーションを行いながら見て行きます。

 

▼第一小臼歯を抜歯したシミュレーションです

八重歯を治療した3Dモデルの写真

こちらは歯冠(歯の見えている部分)のみを参考に、第一小臼歯を抜歯した場合の歯の移動のシミュレーションを行った三次元モデルを示します。見えている部分はとてもきれいに並べることができていますね。

 

▼この状態の歯根の三次元的な位置関係はどうでしょうか

歯根がぶつかっている3Dモデル全体の写真

これが矯正後のシミュレーションの三次元モデルです。これを拡大して行くと、様々な問題が発生していることが分かります。円の部分に注目してください。

 

▼拡大して色をつけてみました

歯根がぶつかっている3Dモデル歯根部分の写真

着色した部分が、このように完全にぶつかってしまっています。つまり、この治療計画のまま歯を動かしてしまうと、

  • 治療途中で歯が動かなくなってしまう
  • 歯の根っこの衝突した部分が吸収される

という可能性が高く、その結果歯根に大きなダメージが生じてしまいます。

 

▼シミュレーションを重ねて修正を繰り返します

歯根がぶつかっている3Dモデル歯根部分矯正後の写真

幾度かのシミュレーションでの修正を行い、この患者様の場合には、矢印のように歯根がぶつからないように配慮した位置に、目標の再設定を行いました。

 

このように、三次元情報を基に詳細な歯の移動を計画することで、より安全な矯正治療を提供することが可能になります。

 

 

「見た目の完成度」だけが矯正治療ではありません

歯の移動の再計画の結果、見えている歯冠の部分だけを参考にしたシミュレーションと比べて「歯列の見た目」はやや見劣りするかもしれません

 

  • 犬歯の傾きはやや直立した状態
  • 第二小臼歯はやや後ろに傾いた状態

になってしまっているからです。

しかし前回のコラムでもお話しましたが、安全で最良な治療を行うには、患者様それぞれの状態を正確に把握して、より柔軟に治療をデザインしなければならないと思っています。

患者様の健康を最優先に考えれば「見た目を優先にした結果、安全性を損ねる」ということは決してあってはならないからです。

 

新しいテクノロジーを用いたデジタル矯正治療では ”より安全な矯正治療” を提供することができることをまた別の治療例からお分かり頂けたと思います。

このような利点をぜひご理解、ご納得された上で、多くの患者様にデジタル矯正システムによる矯正治療を選択して頂ければと考えています。

 

▼前回のコラムも併せてお読み下さい。

デジタル矯正システムで、より安全な矯正治療を!!

トレーニングを受けたドクターたちと林院長の写真

ドクタートレーニングにインストラクター参加しました

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科 院長の林 一夫です。

 

日本橋はやし矯正歯科で運用している重要なデジタルツールのひとつが、OraMetrix社が提供しているデジタル矯正システムです。

 

私は、デジタル矯正システムのインストラクターに認定されており、先日OraMetrix社で行われたドクター・トレーニングにインストラクターとして参加して参りましたので、レポートさせて頂きます。

 

皆様にデジタル矯正システムの「今」を知って頂くとともに、歯科医師の方々にもとても役立つ内容ですので、ぜひ多くの方にお読み頂きたいと思います。

 

 

デジタル矯正システムには認定が必要です

 

日本橋はやし矯正歯科では、いくつかのデジタルシステムを組み合わせて運用しています。その中心となるシステムがアメリカのOraMetrix社が提供している “suresmile” であり、世界でも進んでいるデジタル矯正システムです。

 

2011年に私が中心メンバーとして始めて日本にこのシステムを紹介して以来、徐々にではありますが、日本でもこのシステムで治療を行うことが出来る施設が増えてきました。

 

今回、新たに4施設がシステム運用の公式認定を受け、デジタル矯正治療の新しい技術をより多くの日本の患者さまに提供できるようになりました。

 

この公式認定を受けるには、卓越した英語力や矯正歯科治療に関する認定医を取得しているなどいくつもの高いハードルを越えなければなりません。

そして今回もスーパードクターと呼ぶにふさわしい、すばらしい先生方が新規認定を受けられました。

 

 

原点に立ち返る「OraMetirx」

OraMetrix本社

テキサス州リチャードソンにあるOraMetirx本社。私の原点とも言える場所です。この場所に立つと初心に立ち返ることができ、頑張って前に進んでいこうという気持ちが強くなります。

 

 

ツアーの様子と機材の一部をご紹介します

 

今回のドクター・トレーニングは、2015年12月7日から4日間(朝8時から夕方5時まで)行われ、とても内容の濃いトレーニングとなりました。

専門性の高い内容ですので、今回は写真を中心にツアーの様子をお伝えしたいと思います。

 

デジタル・ラボ・ツアーの風景

デジタルラボツアーの写真

こちらは初日のデジタル・ラボのツアー風景です。OraMetirx社には、世界中からのデジタルモデル作成依頼に対応するため、各地域の歯科医院の営業時間に合わせたシフト体制を整えており、日本とオーストラリアからのオーダーの対応に同じチームが当たっています。

 

3Dプリンター

3Dプリンター
OraMetrix社が運用している3Dプリンター(3台稼動しています)。最新の3Dデジタル・マウスピース矯正用の歯の移動のステージ・モデルをプリントしています。

 

 そして、ここで実は…最新のワイヤー屈曲用ロボットを紹介したかったのですが、特許申請中のため撮影不可でした。一般公開が可能になった段階で、後日改めてご紹介させていただきます。新しいロボットは驚くべき進化を遂げています!!!

 

 

実際のトレーニングの様子です

こちらがトレーニングルームの風景です。今回は以下のような流れでの構成です。

 

最初の2日間

 

デジタル・ラボで、基本的なソフトウェアの使い方を学習しました。

トレーニング前半

 

後半の2日間

 

より実践的な運用法について、アメリカのインストラクター・ドクターからトレーニングを受けました。

トレーニング後半

 

 

2日目のセミナーで講演しました

 

私は2日目のイブニングセミナーを担当させて頂き、これまでの臨床経験とデジタル・テクノロジーの運用に関する考え方に関して、新規認定のドクター方に講演させて頂きました。

Dr. Melisa Rathburnと林院長

今回参加していただいたアメリカのインストラクターであるDr. Melisa Rathburnと私です。

そして、こちらはOraMetrixのエントランスで撮影した記念写真。これからの日本のデジタル矯正を担うドクターたちです

トレーニングを受けたドクターたちと林院長の写真

患者様たちに優れた治療をご提供できる「デジタル矯正システム」の、日本での一層の普及の必要性。それを今回のツアーで再認識することができ、そして私の大切な使命だとの考えを新たにしました。

 

そして、このすばらしい先生方と「デジタル矯正治療」を本物のイノベーションにするべく、精一杯がんばって行こうと思います。

デジタル矯正システムは、患者様との良好な信頼関係にも貢献します

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科、院長の林一夫です。
これまでのコラムで、新しいテクノロジーを用いたデジタル矯正システムの治療が、

  • 治療期間の短縮
  • 治療の品質の向上
  • そして、より安全な矯正治療

などをご提供できることがお分かりいただけたと思います。

 

今回はこれらに加え、治療にあたってなくてはならない「歯科医師と患者様の信頼関係」について、お話させて頂きます。

デジタル矯正システムは、様々な情報を3Dで可視化できるので、患者様へのご説明もとても分かりやすく行えます。

そしてそれが、患者様の様々な不安を払拭し、歯科医師と患者様の良好な信頼関係の構築にも貢献してくれます

 

 

矯正歯科で一層重要な信頼関係

 

矯正歯科治療は比較的長い治療期間が必要になりますので「患者様といかに良い信頼関係を構築するか」ということがとても重要になります。

患者様に「治療の進展状況をきちんと説明できるか」ということはとても大切な要素です。
自分の治療が、初めに説明を受けた治療方針・治療計画の通りに進んでいるのかどうか、十分な説明がないまま治療が行われていると「このままで大丈夫なのか?」と心配になるのは当然のことだと思います。

患者様と普段接していると、デジタル矯正システムは

  • 患者様にも非常にわかりやすく説明できる方法である
  • そのため歯科医師と患者様の円滑なコミュニケーションを促進する

ということを痛感します。

 

 

治療途中の状態の再現と治療後の予測

 

前回のコラムで、デジタル矯正システムで可能になったことをお話しました。

 

  • 歯根吸収のリスクを回避する治療デザイン
  • ブラックトライアングルの予測

これらの情報を患者様と共有する際には、当然治療の経過などの理解を得ることが必要となります。ですので、必然的に患者様に十分なご説明は不可欠となるのです。

そして、デジタル矯正システムで得られる

 

  1. 治療後の歯並びの状態をより正確に予測できる
  2. 治療途中の状態もアニメーションなどで再現できる
  3. 自分の治療の進行具合を比較的正確に把握できる

こういった情報をその都度、患者様と共有しますので、患者様は「今いったいどうなっているの?」という不安を持つことなく、治療に専念して頂けます。

 

前回のコラムもぜひ、併せて参考にしてください。
デジタル矯正システムで可能になったブラックトライアングルの予測

 

 

治療期間の延長に関するご説明

 

治療期間はいろいろな要因で、最初に想定していた治療期間よりも長くなってしまうことがあります。
そのような場合は以下の項目について知って頂く必要があります。

 

  • なぜ治療期間が長くなるのか
  • 目標とする歯並びのどのあたりまで達成されているか
  • あとどれぐらいの移動を行えばよいのか

もちろんこれらを知るには歯科医師の適切な説明が不可欠ですが、デジタル矯正システムであれば、3Dモデルを用いてしっかりと説明することができます。

ですので一般的な矯正歯科治療よりも、良好な関係を保ちながら治療を継続することができると考えています。

 

ひとつの例として、こちらの3Dモデルをご覧下さい。治療前から治療後までの歯の移動を、パーセント表示で段階的に示したものです。

デジタル矯正システムにおけるパーセント予測図1

よく見て頂くとほんの少しずつ、歯が移動していることが分かりますね。

このモデルを用いることで、患者様は「自分が、ゴールまでの治療過程のどの辺りにいるのか」を、視覚で理解して頂けます。

 

計画通りに進んでいるのであればもちろん安心されます。また計画よりも遅くなっている場合でも、こちらを見て頂きながら「歯の移動自体は目標通りに進んでいる」ことを説明し、今後の改善点など3Dモデルをもとにお話することができます。

 

また、この3Dモデルのパーセント表示は、以下に説明するような最適な来院時期の判断に用いることもできます。

 

 

効果的な来院時期を判断

 

一般的な矯正治療では、月1回の通院で治療を進めていくことが多いと思います。

 

しかし、日本橋はやし矯正歯科で用いている「ロボットにより加工されたカスタムワイヤー」は、非常に精度が高いので、2ヶ月以上歯を動かし続けることが可能です。そのため次の来院まで1ヶ月以上間隔を空けることもでき、結果的に患者様の通院の負担を減らすことができます。

 

ただし、歯の移動は必ずしも予想通りに動くとは限りません。ですので2ヶ月以上間隔をあけて通院いただく場合は、おおよその歯の移動を予測した、以下のような3Dモデルの画像を患者様にお渡ししています。

 

移動前:最後の通院の状態です。

percent_prediction_2

 

移動予測:1ヶ月半経過したころの予測です。
percent_prediction_1

1ヶ月半たったころに、予測モデルと実際のお口の中を比較して頂き、

 

  • 予測通りに動いている場合
    問題ありませんので、次の来院は最後の来院の約2ヶ月後となります。
  • 予測モデルとかけ離れている場合
    調整が必要な場合があるので、その時点で来院の予約を取って頂きます。
  • ご自分での判断が難しい場合
    お口の中の写真を携帯のカメラで撮影して送って頂き、それをもとに私が判断します。

こうして来院時期を判断することで

  • 歯が予想通りに動かなかった場合は、早めの対応
  • 予定よりも早く歯が動いたら、より早い段階で次の治療ステップに進む

といったことができます。

デジタル矯正システムのソフトウェアは、タブレット上でも快適に動作します。

デジタル矯正システムのソフトウェアは、タブレット上でも快適に動作します。

 

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矯正治療にあたって最も効率よく歯を動かすには、デジタル矯正システムによるこういった情報交換のシステムがとても有効になると考えています。

そしてそれが、患者様と歯科医師とのより良い信頼関係を構築し、患者様自身の治療に対するモチベーションを向上させることができるとても良い技術だと感じます。

ダラスで行われたsuresmile conferenceにて、suresmile lingual applianceのレクチャー

ブラックトライアングルは、デジタル矯正システムで予測可能に

こんにちは。日本橋はやし矯正歯科・院長の林 一夫です。これまで、デジタル矯正システムの治療の品質についてたびたびご説明していますが、今回は治療の品質のなかでも、

治療後に問題になりやすい「ブラックトライアングル」の予測がデジタル矯正システムで可能になったこと

についてお話いたします。

 

 

ブラックトライアングルとは何か

 

「ブラックトライアングル」。普段あまり耳にしない言葉だと思いますが、矯正歯科治療においては非常に重要な課題です。

 

矯正治療が終了して歯並びが整ったときに、骨の量にあわせて歯茎が下に下がってしまい、これが原因で隙間が出現してしまうことがあります。これがブラックトライアングルでです。

 

せっかく見た目にもきれいになったはずなのに、歯と歯の間に隙間が開いてしまう。できれば避けたいことですが、患者様の状態によってはどうしてもそうなってしまうことがあります。
そういう場合は、事前に患者様に良くお話しし、治療の方針を入念に決めて行くことが望ましいです。
ところが、従来の矯正治療では予測が難しいというのが問題を大きくしていました。

 

 

ブラックトライアングルは予測が難しく、トラブルも起きていた

 

予測できなかったり、また仮にある程度予測できたとしても、最終的な歯並びの見た目に関して患者様との認識のギャップは必ず存在します。それを最小限にとどめるのが理想的ですが、大きくなってしまうと、矯正歯科医師と患者様のお互いの信頼関係が損なわれてしまうこともあります。

 

歯列矯正が終わったら、歯と歯の間に隙間がある…「こんなはずじゃなかった」「これなら前の方が良かった」等で、残念ながらトラブルに発展してしまう場合もあり、本当に悲しい、あってはならないことだと私は思っています。

 

そういったことにならないよう、治療前に歯科医師が把握し、患者様に十分にご説明の上ブラックトライアングルの程度をどうするかなどの方針を決めることは、矯正歯科のひとつの大きな課題でもありました。

 

そして、デジタル矯正システムの技術でより正確に予測できるようになりました。これは患者様にも、そして治療側の私たち歯科医師にも、本当に喜ばしいことです。

 

 

日本人に多い凸凹歯(叢生)の矯正は出現しやすい

 

以下に、凸凹(叢生)を例に説明します。叢生の説明と治療方法についてはこちらをご覧下さい。

代表的な不正咬合

 

日本人は、欧米人と比較して凸凹な歯並び(叢生)が多く、当院にも下顎の前歯が凸凹になっている患者様が数多く来院されます。

この凸凹になった歯の矯正治療後の最終的な歯並びで、見た目の問題として考慮しなければならないことのひとつが、先に説明した「ブラック・トライアングル」です。

 

下顎の前歯が凸凹になっている場合、歯の頚部(歯と歯茎の境目あたりの部分を歯頚部と言います)で前歯同士が重なっていることが多く、この部分の骨(歯槽骨)が十分ありません。そのため、どうしても隙間が開いてしまうことになります。ですので

  1. 治療前に3Dモデルを作成し、ブラックトライアングルの出現を予測する
  2. どのような見た目が望ましいかを検討する
  3. ご要望に併せて3Dモデルを作成し、治療デザインに同意して頂く

デジタル矯正システムでは、このように方針が固まったら治療に入ることになります。次に、その実際例で説明していきます。

 

 

シミュレーションで予測し、対応した実例

 

これは、叢生を持つ患者様の診断用の3Dモデル(ヴァーチャルペイシェント:仮想患者)です。

叢生の矯正前の3Dモデル

デジタル矯正システムでは、3Dスキャナーで口腔内を直接スキャンするので、歯肉部分もきれいにモデル化できているのがわかります。このモデルを基に治療のシミュレーションを行いました。

 

シミュレーションの結果がこちらです。

叢生の矯正後の3Dモデル

デジタル矯正システムにより、下顎の前に比較的大きなブラック・トライアングルが出現することが予想されました。このシミュレーション結果を基に、患者様に十分な説明を行い、同意を得た後、治療を開始しました。

 

実際に行った治療後の写真を見てみましょう。

ブラックトライアングルが出現した矯正後の写真

術後のブラック・トライアングルの程度や形態が、シミュレーションの結果とほぼ同じです。

 

治療前にデジタル矯正システムで三次元的に予測されたブラック・トライアングルが、実際に極めて近い予測であったことが分かると思います。

このような比較的大きなブラック・トライアングルが治療後に出現してしまったとしても、前述したように

 

  1. 術前に正確な3Dモデルを作成し、ブラックトライアングルの出現を予測する
  2. どのような見た目が望ましいかを検討する
  3. ご要望に併せて3Dモデルを作成し、治療デザインに同意して頂く

 

このような前提で治療すれば、患者様からの信頼を失うことはありません。もちろん、この隙間の量を小さくする治療をデザインすることも可能です。

矯正治療は単に歯列を治すだけではありません。矯正後に発生する様々な問題を、患者様の生活全体から大局的に見て進めて行くことが何より重要です。

日本橋はやし矯正歯科は、新しい矯正技術と豊富な経験、知識でみなさまのQOL向上のお手伝いをさせて頂きます。

 

ブラックトライアングルについてのご質問やお問い合わせについてもお受けしておりますので、ご興味のある方はこちらからご遠慮なくご連絡くださいね。

お問い合わせ | 日本橋はやし矯正歯科

 

ダラスで行われたsuresmile conferenceにて、suresmile lingual applianceのレクチャー

2014年3月、ダラスで行われたsuresmile conferenceにて、suresmile lingual applianceのレクチャーを行いました。 私の隣は大学の後輩、渋谷矯正歯科の東海林先生です。

 

院長コラムはこちらからご覧下さい。
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